あんスタメインストーリー | ナノ

 第四話 記名

 





 「もうじき食堂に到着する。ちゃんとした案内は、放課後にするとして......。
  転入生も転校生と一緒に放課後案内しよう」






 「まずは教室と、食堂、あとは保健室などを把握しておけば不便はなかろう」

 「職員室の場所は、もうわかるな?転校生として、すでに挨拶に出向いたはずだ」

 「特別に行きたい場所があるときは、その職員室で教師に聞くか、俺を電話で呼び
  出してくれたらいい」

 「他に急用がなければ、五分以内に駆けつける」





 「気軽に呼び出してくれて構わない、番号を教えるから控えておいてくれ」

 「あっ、俺の番号とメアドも教えとくよ!えっとね〜?
  銭ゲバ、あっとま〜く......♪」

 
 




 「ふん。無駄話をしているうちに、だいぶ食堂が近づいてきたな」


 「いま俺たちが歩いている渡り廊下の中途から、外にでられる」

 「食堂は、すぐそこだ。昇降口まで行くと遠回りだから、生徒はだいたいこの近道
  を利用する」

 「わ〜い!今日は好い天気だね〜っ、世界中がキラキラしてるよ☆」


 「明星、いきなり飛び出すな。犬かおまえは。せめて、靴を履きかえろ」

 「転校生たちも、ほら。上靴は、ここで脱げ」

 「このへんに並んでる下足は、どれでも勝手に使っていいことになっている。足の
  サイズにあうものを選んで、履きかえるといい」

 「ふん。二人とも上靴に名前を書いていないのか、他のと『ごっちゃ』に
  なりそうだな」


 「転校生。マジックペンがあるから、これで上履きに名前を書くといい」

 「氷鷹くんはマジで用意がいいというか、かるくド*えもんだよね......?」

 「てゆ〜か、『お母さん』っぽい〜☆」

 「誰がお母さんだ。何があっても対応できるよう準備しておくのが、委員長としての俺の流儀だ」

 「動くな、転校生。ついでだから、上履きに名前を書いてやる」

 「おかあさ〜ん、俺の上履きも名前書いてなかったから書いて書いて☆」

 「お母さんと呼ぶな。ふむ、転校生は足がちいさいな......。女の子だったな、そういえば」

 「これなら名前を書くまでもなく、他の上履きと『ごっちゃ』になることはなさそうだな」

 「まぁ念のため、書いておこう。備えあれば憂いなしだ」

 「動くな転校生、文字が歪む。......スカートが視界を塞いで、邪魔だな」

 「氷鷹くん。君にそんなつもりがないのは重々承知だけど、ちょっとセクハラっぽくみえるよ?」

 「ホッケ〜ったら、セクハラオヤジ〜☆」

 「『お母さん』なのか『オヤジ』なのか、せめて統一しろ」

 「ほら、転入生も書いてやろう」

 「ふん、書けたぞ。では行こう、もたもたしていると食券が売り切れる」




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