◎ 第三話 学院
そこから自己紹介をして教室を出る。
「さて、歩きながらで申し訳ないが。この私立夢ノ咲学院について、かいつまんで
説明しよう」
「どうも聞くに転校生はあまりこの学院について詳しく知らないようだからな」
「そーなの?」
「うむ。何らかの事情があり、急な転校となったようだ。ろくな説明もされない
まま、『ぽん』と放り込まれた状態だろう。おそらく転入生も同じ状況だろう」
「その立場には同情するし、俺は委員長として転校生の世話を焼く義務がある。
転入生も隣のクラスとはいえこうして縁があって出会ったんだ。二人とも
わからないことがあったら、いつでも俺を頼ってほしい」
「俺にも頼って頼って☆」
「僕にもね!情報収集は僕の専売特許だよ、『知らなきゃよかった』と後悔する
ようなことをいっぱい教えてあげる〜♪」
「最初に伝えておくがこいつら二人はアホなので、なるべく近づかないように」
「おいおい!いきなりなんてこと言うんだホッケ〜っ、転校生たちを独り占めか!
ずるいぞ、俺も転校生たちで遊びたい!」
「『遊びたい』という表現が気になるが。転校生たちは右も左もわからないようだ
からな、余計なことを言って混乱させんように」
「まぁいい。話が逸れたな、説明を再開する」
ここから氷鷹さんの夢ノ咲学院の説明が始まった。
現役ではない人がいるという話を遊木さんがふられて、
「あ〜ごめん。それ僕の地雷なんで、踏まないでくれると助かるな〜?」
そこで謝る氷鷹さん。何かつらい思いでもしたんだろうか。
「『アイドルの、アイドルによる、アイドルのための学び舎』」
そう説明する氷鷹さんはどこか少し暗いような気がした。
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