▽思い出
ひどく、懐かしい夢を見た。
…たった半年前のことだけれど、その光を失ってしまった私にとっては、とても懐かしく感じた。
夢の中の彼は、真っ白の半袖から健康的に焼けた肌を伸ばしていて、頭に青色のハチマキを巻いていた。
…ああそうか、これは去年の体育祭の時だ。
最後に見たときより幼く笑う彼の隣には、彼と同じ係だった女の子がいる。
活発で、信頼の厚い子だった。…顔は、私のほうが可愛かったと思う。
まるで彼女に嫉妬しているかのようで、自嘲じみた笑いがこみ上げてきた。
ふと、私に話しかけてくれた彼女の笑顔を思い出して、ひどく自分が汚い女のように思えた。
そのとき、ふと彼が顔をこちらへ向け、柔らかく微笑んだ。
一瞬、胸がときめいたけれど、その笑みは私へ向けられたものじゃないと分かっているから、そこをそっと退いた。
振り返って、その相手を確認したいけれど、分かりきっているからか体が動かず、何もできないまま、目が覚めた。
◇…前に進んだつもりでいても、思い出してしまう。
そんな自分が恥ずかしくて、嫌いな女の子の気持ち。
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