▽脱力
何でだろう、全然ショックじゃない。
聞いた瞬間、だろうなって、やっぱりなって思った。
小説みたいな、頭を鈍器で殴られる感覚なんて、無いに等しい。
悲しみなんかより、脱力の方が勝ってしまった。
だけど、だけど、胸がざわついている。
少しだけ、心臓が重くなった気がした。
胸が、ゆっくりと生暖かい空気で膨らんでいく。
きっと破裂なんてしない。ゆっくり、ゆっくり膨らむだけ。
たまらず吐き出した空気は、思った以上に熱かった。
◇…失恋した女の子の気持ち。
相手は誰だろ。憧れの人とか、あんま話したことない人だろうな。
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