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「ねぇーっねぇーっ白井さあんっ!」
高い声で私を読んだのは、髪を高い位置で二つに結った女の子だった。
教室に入った途端、腕を引かれて教室の隅へと連れて行かれた。
「白井さんって谷原くんと付き合ってるの!?」
「はあ?」
こっそりと、でも
興奮した声で聞かれ、思わず間抜けな声が出てしまった。
その女の子はキラキラとした期待の目で私を見つめる。
…突然すぎて、脳が追いつかない。
「いや…違うけど」
「えーなんだぁ」
残念そうに口を尖らせる彼女。
…なんか、昨日から変な人にばっかり声をかけられるなあ。
すると、彼女は何かを思い出したように、あっ、と小さく声を上げた。
「わたしは安西麻由!よろしくねっ」
女の子らしい笑顔でそう言う彼女…いや、安西さん。
ふわふわとした二つ縛りを揺らして、うーんと唸った。
「残念だなあ…たった一日で彼氏を作るコツ聞こうと思ったのにー」
しょんぼりと顔がうなだれたが、すぐににっこりと笑顔になった。
コロコロと表情を変える子だなあ。
安西さんは何を思ったのか私の手を両手で掴み、その大きな目をキラキラさせて笑顔で言った。
「よろしくね、瑞姫ちゃんっ!」
…あー、また変なのに捕まってしまったみたいである。
mae ato