1/3

「かっこいい先輩いるかなーっ」


「どうしよっ勉強ついていけるかな?」


わいわい期待や不満を口にする新入生。真新しい制服でより華々しく見える。
…まあ、私もその一人なわけで。
手に持った数枚のカラフルで薄っぺらい紙も、ついさっき営業スマイルの上級生に渡されたものである。
『初心者大歓迎。バスケ部で爽やかな青春をしよう!』『吹奏楽で部奏でるあなただけの音』『神秘的な秘密!科学部で刺激的な高校生活を』
つらつらと並べられた言葉を、流れるように見る。
自分の三年間がかかる選択。しっかり考えたい。
無駄に多い人の中を抜け、クラス表を確認する。
1‐Aかー。
自分の名前だけを確認し、すぐその場を去っていった。









とくに大きなことも起こらないままつまらない入学式は終わった。
教室ではみんな笑顔で話をしている。期待で胸がいっぱいなんだろう。
私は毎日朝早いなあ、と思う程度だった。冷めてるんだと思う。
たまに入っている桜の花びらが、ふわふわと飛んできた。
自分の席に座り、簡単に支度をして本を取り出す。
すると、前に座っていた人が私の方に振り返った。

「えっと、白井さん?かな、席前後だし、よろしく!」

「あ…うん、よろしく」

フレンドリーに話しかけてくるこいつを内心鬱陶しいと思いながら流す。
冷たくあしらわれても気にせずにこにこと私の机に身を乗り出した。
…本格的に、うざい。

「俺谷原和也っていうんだー!」

「へえ」

お前の名前なんて興味ねえよ、と心の中で呟く。
こういうタイプって、苦手なんだよなあ。目の前の彼を遮断したくて、本のページを開いた。

「待って待って!俺さ、この学校に知り合いいないのよ!」

「…うん、だから?」



「だからさ、

     __俺の友達第一号になってくんない!?」
mae ato
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -