雪解け(主人公×他キャラクター) | ナノ
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 壊れた境界線(02)


「お前がいねぇから寂しいだのなんだの、うるせぇんだよ」

彼女が現世駐在任務中、檜佐木は此処に来ては相変わらず彼女のことを一方的に話していった。
それがまるで俺の胸の内のようで。
寂しいだの会いたいだの、俺が思っていることを何の躊躇もなく口にして、押し付けて。
まだそれだけなら良いさ。

「告白、するんだとよ」

離れている間に更に気持ちが大きくなり、遂に彼女に告白することを決めたんだとか。
馬鹿みたいに顔を赤くして、「阿近さん、どう思います?」なんて聞きやがる。
腹癒せに、二週間勃たなくなる薬を栄養剤だと言って渡して追い返してやった。

「……嫉妬、ですか?」
「そうだ、悪いか」

言って、襦袢も袴も剥ぎ取って放り、その白い肌に吸い付く。
首筋を、鎖骨を、膨らみを寄せて出来た谷間に舌を滑り込ませて、その突起を指で刺激する。
彼女の縛った両手を頭上に固定すれば、身体が反り、弄ってくれと言わんばかりに俺の目の前でふくらみが揺れる。

「ん……」

俺と彼女が幼馴染だと言うことは護廷で周知のことだが、もう一つの関係があることを、知る者は恐らくいない。
もしかすると八番隊、十三番隊の隊長辺りは感付いているかもしれないが。
幼馴染だった俺達は、いつしか恋人同士になった。
きかっけも理由も、そんなものは忘れたが、誰か異性を好きになったのは彼女が初めてで、他の誰にもこんな気持ちを抱いたりしないだろう。
俺達が恋人同士だと周知されていないのは、単純に当の俺達が口外していないから。
俺は技局にこもりっぱなしだし、彼女も言おうとする気配もない為、誰にも知られていない関係がもう何年と続いている。

「あっ、」

下着の上から其処に触れると、既に湿っていて、中指で中心を撫で上げると、また濡れていくようだ。
下着を横へずらすと、すっかり濡れた其処が誘うようにひくついている。

「ああっ…!」

下から上まで大きく舐め上げると、彼女が喘ぐ。
その声に欲望が膨張し、褌が窮屈になっていく。
舌で愛撫を続けながら、彼女を盗み見る。
それは、俺しか知らない顔。
普段殆ど笑みを崩さない彼女が、まるで別人のように、淫らに、いやらしく、快感に悶えるその表情は、俺だけが知っていて、俺だけがさせることが出来る。
それが堪らなく嬉しくて、優越感と興奮でぞくぞくする。

「あこ、っん、あっ……」

彼女の良いところを、最初は焦らすように触れるか触れないくらいに撫でて、彼女の腰が無意識に浮き、溢れてくるそれを啜りあげる。
まだ溢れてくるそれと唾液をぐちゃぐちゃに混ぜて、優しく、執拗に、そして少し強く刺激すると、彼女の身体が緊張していくのが分かる。

「ん、も……駄目っ、」

果てそうになるのを耐えるように眉を寄せるその表情は、もうとんでもない破壊力で、この表情と声だけで俺まで果てそうになる。
しかし何故か、不意に檜佐木の言葉が頭の隅で蘇る。

「……阿近?」

突然手を止めた俺を、彼女は荒い息のまま不思議そうに見る。

「…お前、何で言わねぇんだ」
「え……?」

何故、彼女が周囲に俺達の関係を言わないのか、特に不思議に思ったことはなかった。
唯、こう言うことは一度や二度のことではない。
彼女が男に言い寄られることや、彼女に好意がある男が何人もいることは知っていて、それにいらついて強引に彼女を抱くことはこれまで何度もあった。
俺は嫉妬に駆られる度、彼女を抱いて、その表情と声を、彼女を感じることで行き場のないいらつきを落ち着かせていた。
俺が嫉妬に駆られる度に、彼女は俺に理由を問いただすことはしても、周囲に俺達の関係を口外しようとはしなかった。
そりゃあ言いふらすようなことではないし、彼女が口外したくないのならそれで良い。
だが、理由が知りたくなった。
平気な顔で、俺がいらついているのを見て、分かっているくせに問いただして、一体何のつもりだ。

「俺の女だって、知られたくねぇか」
「…何、言って……」

珍しく、驚いた表情をして、身体を起こす彼女。
一体に何に驚いているのかは知らないが、俺の気も知らないことにまた少し腹が立つ。
彼女の腹に跨って、また押し倒す。

「お前が口外したくねぇっつぅならそれで良い、だが理由を教えろ。いつも俺に吐かせるんだ、お前も答えろよ」

片手で縛った手首を掴んで、もう片手で顎を掴むと、彼女の小さな口が開いて、小さく震えた声が漏れた。

「……だって、」

初めて聞いた声だった。
葡萄色が、潤んでいるようにも見える。
何だ、何故そんな顔をするんだ。

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