「んっ……」
俺の上に覆い被さり、ゆっくりと腰を振る彼女。
重ねた唇から互いの吐息が溢れる。
くちゅ、と繋がったそこから漏れた水音とその光景に、彼女の中で自身が更に大きくなる。
「っ、あ……」
彼女は唇を離して上半身を起こすと、俺の骨盤に手を着いて、先程より速度を上げて腰を上下し始める。
目の前で揺れる膨らみを下から掬うように揉んで、色素の薄い突起を摘むと彼女が喘ぐ。
「…いやらしい女」
「…っ、…貴方の、所為です」
ああ、そうだ。
俺が彼女をこんな女にしたのだ。
これまでそんな素ぶりなんて見せなかったのに、俺の話をする女に嫉妬して、こんな夜中に俺に会いに来た彼女がいじらしい。
「あのお店…」
「店?」
「十三番区に…新しく出来た小さなお店、貴方が一人でよく行く…」
吐息交じりに彼女が言う。
その彼女の言う店に偶々入ったところ、一人で飲むには中々良い店だった為にこれまで数回行った。
「そのお店で…彼女が貴方を見て、一目惚れ…したそうです。っ、だから…」
「もう行かねぇよ」
そう言えば、彼女はふるふると首を横に振る。
「私も、連れて行って。…それで、彼女に見せつけて」
動きを止めて、彼女が俺を見下ろす。
その表情が、堪らなく切なくて、愛おしくて、胸が大きく鳴った。
「貴方が私に首ったけだって、私以外に興味なんてないって、貴方は私のものだって、彼女に見せつけて」
我慢出来なくなって、彼女を組み敷く。
驚きに葡萄色を見開く彼女の唇に、噛み付くように口付ける。
今日は彼女に抱かれようと思っていたが、やめだ。
こんなことを言われて我慢出来る筈がない。
俺も彼女にいかれてるが、それは彼女も同じだよな。
そう思って良いんだよな。
「分かった。その代わり、何されても拒否するなよ」
「あぁっ…!」
言葉と同時に彼女を突けば、堪らず喘いで俺の首にしがみ付く。
「俺は…っ、お前だけのもんだ…」
こくり、喘ぎながら彼女が頷く。
「周…、お前は?」
彼女の答えなんて分かっている。
それでも、彼女の言葉を聞きたかった。
「貴方のものです。全部…私の全ては貴方のもの。…ずっと」
その言葉で、その表情で、何もかもが堪らなくなって、腰を彼女に打ち付ける。
「阿近、好きよ」
果てる前、彼女の唇がはっきりとそう動いた。
そうだ、お前は俺のものだ。
誰にも渡しはしない。
彼女は嫉妬してくれたが、俺がどうかなんてことは愚問だ。
俺がお前から離れられるわけがないだろう。
こうして彼女のこんな言葉が聞けるのなら、表情が見られるのなら、嫉妬されるのも悪くない。
折角こんなに暑い夜に俺の部屋に来たんだ。
風呂でもう一汗かくとするか。
眠ってる俺に散々好きなことしたんだ、今度は俺の番だろ?
ささくれを舐める
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