雪解け(主人公×他キャラクター) | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


 ささくれを舐める(02)


「夜這いしかけといて、無責任な奴だな」

我慢出来なくなって目を開けて、彼女が口を開ける前に、投げ出したままだった腕で彼女を抱き締める。
そして今度は俺から口付けて、酒の臭いがするそこへ舌をねじ込む。
彼女の身体が小さく跳ねたが、抵抗なく俺を受け入れた。
いつもは逃げるように、誘うように動くその舌は、今日はやけに積極的で、俺が態と逃げるようにするとすかさず絡め取って捕まえる。
いつもとは違う反応の彼女に、いつも以上に興奮する。
本当はこのまま彼女を抱いてしまいたいが、仕方なく唇を離す。
瞼を上げた彼女が、切なげな表情で俺を見た。

「こんな夜遅くに一人で出歩くなっつったろ」
「…すみません。でも……」
「どうした」

何かあったのか問えば、彼女は首を横に振る。

「…いいえ、今日はすみませんでした」
「いや、良い。で、どうしたんだ。何をいらついてるんだ」
「別に、それは……」

珍しく、彼女がはっきりしない。
これは酒の所為なのか、他の何かの所為なのか。

「言えよ。自白剤飲ますぞ」

俺の言葉に、彼女は首をぶんぶん横に振る。

「……現世から戻って、書類を提出して帰ろうとしたんです。でも…寮に帰る途中、数名の女性隊士とすれ違って…」
「それで?」

先を促すと、彼女が眉根を寄せる。

「彼女達が、貴方のことを話していて…」
「俺が何だ?」

彼女が自分の衿元をきゅっと握る。

「…貴方が、とても素敵だって。彼女達のうちの一人が、貴方を――好きだって」

苦しそうに、吐き出すように彼女が言って、ぎゅっと下唇を噛んだ。
初めてのことだった。
彼女がこんな表情をするのも、こんなことを言うのも。

「…つまり、嫉妬か?」
「…悪いですか」

意外にも、彼女はあっさり認めた。

「何も面白いことはありません」

嬉し過ぎて顔に出ていたんだろう、彼女は拗ねたような表情で俺を見る。

「つまり何だ、その女達の話を聞いて嫉妬して、帰ってやけ酒飲んで、俺に会いたくなって夜這いしに来たってわけか」
「そうです、悪いですか」
「誰が悪いっつった」

ぐい、と彼女を引き寄せて抱き締めると、彼女の腕が俺の身体に回る。

「俺の気持ちが分かったかよ」
「私が今まで嫉妬したことがないような言い方です」
「…違うのか」
「違います。私はこれまでも沢山嫉妬しています」
「……そうか」

これはまた予想外だった。
酒の所為か、彼女がやけに素直で、此方が恥ずかしくなる。

「で、どうすんだ」
「何をですか?」
「これ、責任とってくれるんだろうな?」

彼女の太腿に下半身のそれを押し付ける。

「夜這いしにきたんだろ?」
「…そうです」

挑発するような俺の言葉に、俯いて、それから顔を上げた彼女の表情は、今まで見たことがない程に妖艶で、思わずごくりと唾を飲み込んだ。

前へ / 戻る / 次へ