さてはて、何にしてもまずは自己紹介でしょうか。

私はみょうじなまえ。忍術学園くノ一教室で学ぶ5年生です。
出雲国を治める大名家の一家臣・みょうじ宗家の末娘ですが、最近どうにも家の周りの情勢が安定せずに不安を抱えたまま学園生活を送っているところです。さらには学園でのテストで追試験を言い渡されたり、何かと心臓の縮む思いをしております。
とはいえ、将来はここで学んだことを活かして、家の役に立てればと思い、日々精進しているところでございます。

で、私だ。
出茂鹿之介。忍者としての腕前は抜群で武芸全てに秀で、かつ事務処理能力もカンペキで火薬の知識も豊富。誰がどう考えたって忍術学園の事務員になるべきは私なのである。
家はもともと武家で、出雲国のとある方に仕えていたのだが、今は訳あって所領を大幅に減らされることになり、ほぼ百姓も同然クラスにカーストダウンしている。
ま、幼い頃から寺でも一番優秀だったからなぁ、今もこうして優秀なフリーター忍者として働いているわけだ。

ふう。
さて、以上二人とも私、鉢屋三郎だったわけだが。
この二人、実は同じ国に関わりのある者同士。ちなみに私もそうだ。
出雲ってのは、東西南北魑魅魍魎てな具合で、そりゃもうあいつがアレを裏切りこっちについたの何だの、とにかくごちゃごちゃメンドくさいことになってた。まあ、こんな世の中だ。どの地も同じような悩みが尽きないのだろうけどな。
さて、鉢屋の一党はというと、さるお方にずっと付き従ってきたんだがなぁ。これも、いつ溶けてなくなったっておかしくない、泥舟といえば泥舟だった。
西に強大な敵を作ってしまって、散々やり合ってきたが、いっときに比べればようやく落ち着いてきたところだね。
今は少しずつ持ち直してきている。近隣国衆にも働きかけて、とにかく味方を増やしているってところ。
そもそも、私たちが仕えているのは、恐れ多くも元々幕府から仰せつかって守護を務めてた名家を、騙くらかしてのし上がった家だ。その騙くらかしのサプライズに、私の爺さんが関わっていてな。今でもその時のことは語り継がれている。
国盗りってのはロマンがある。だがその分、当然リスクも大きい。ひとたび力を持てば、その分あちこちに敵が出来るから。
今は爺さんの代から続いている、そのリスクにぶち当たりながら何とかかんとかやってるような状態だ。しかしまあ、リスク背負うことになるこっちの身にもなってほしいもんだよなぁ。

いけない、話が長くなる。
さて、この話は出雲国の片隅も片隅で起こる、小さいながらも不穏なモメごとを大袈裟な物語調に書き起こしていくものだ。家中のいざこざに巻き込まれていくくノ一のたまごとフリーター忍者、さぁどうなることやら。
まずは二人の出会いからご覧あれ。

終わり良ければ全てよし。生きてりゃそのうち、いいことあるさってね。