沈黙した空気の中、赤髪さんが先に言葉を切り出した。
「今、俺たちを家に返してくれれば警察には言わないでやるから……」
「えぇっ!?」
なにそれ、泥棒が言うセリフ?
「だから私、誘拐犯じゃないですから!」
第一、普通女の子一人で男の子三人を誘拐するなんて難しいこと、やってどんなメリットがあるの?
「そ、そっちこそ何も盗らないで今すぐ出て行けば、警察沙汰にはしないよ。」
私が言い返すと、ワカメくんが間髪入れずに
「俺たちも泥棒じゃねぇ!」
と言ってくる。
すると、このやりとりを見ていただけの銀髪さんが
「利害は合ってるんじゃが。」
と結論づけた。
……確かに。
向こうはこの家から出て行きたくて、私は相手にこの家から出て行ってほしいんだもんね。
「じゃあ、帰ってもいいのか?」
赤髪さんが期待を込めた目で私を見る。
「どうぞ……」
ていうか、むしろ早く出ていって。
そして私は、3人に玄関まで案内して、赤髪さんはドアを開けて外に出た
が、
「ここどこだよ!」
外の景色を見てそう声をあげた。
もしかして……
「本当に泥棒じゃない?」
私がそう確認すると「だから、違いますって」とワカメくんに言われた。
……これは演技してるようには見えないし、信じていいのかも。
「わかった、泥棒じゃないって信じます。だから、みなさんも私が誘拐犯じゃないって信じてください!」
銀髪さんは、外の景色を見ながら
「まぁ、俺たちも誘拐されたとは思えんしのう。」
と言って、他の2人に視線を移した。
「お前らは何してたら、ここにいたんじゃ?」
「えーと……」
と、そのとき、家の前を近所の人が怪しげな目で私たちを見ながら、通り過ぎて行った。
「ちょっと待った!とりあえず、悪い人じゃないって分かったわけだし、もう夜だから中で話そう?」
近所の人たちに怪しげな目で見られるのは嫌だ…
そして、再び私の部屋に戻った。
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