コナン

「ヴェスパニア王国…?王女来訪…?サクラサクホテル…?」

 やたらスケールのでかいイベントが始まり、映画かなんかのイベント発生か?と記憶をたどったナマエは頭をひねらせた。全く覚えがない。
 と、ネットのまとめ記事の下の方に出ていたニュースにナマエはふと目をとめた。

(ルパン……三世!?)

 この世界にルパン三世が存在することは知っていた。各国とのパイプ作りにあちこち飛び回っていたナマエなので、当然その名を耳にしたことはあったのだ。

(けどまさかコナンと絡むとは……確かに、コラボ映画あったような気がするけど……)

 ある種のパラレルワールドのようなものに違いないと勝手に思い込んでいたのだが。
 あいにくそのコラボ映画を見ていないナマエは、一体どうしたものか、と溜め息をついた。





「収納されるギアと一緒に飛行機に潜り込むとか…どこのアクション俳優だっつーの!!」

「ご、ごめんなさーい」

「私に子どもぶりっこが通用すると思うなよ、新一?」

「…ってかナマエさんこそどうやって来たんだっつの…」

「話をそらすな!」

 蘭を身代わりとしたまま強引に日本を出ようとしていた飛行機に潜り込んだコナンに、ナマエは盛大なお説教をかましていた。かくいうナマエは魔法というずるを使って飛行機内に入り込んだのだが、それはそれである。気圧も低く極寒の格納庫で顔を真っ赤にして倒れているコナンの傍に現れた時には思わず冷や汗をかいた。

「あっ、蘭姉ちゃん戻ってきたみたーい!」

「もー……ちゃんと反省してんのか?」

 とはいえ蘭の前であまり滅多なことは言えない。しぶしぶナマエは説教を畳んだ。





「あの次元大介とコナン君が親子……くっ」

「笑ってんじゃねー!…っつーか親子役っつうならコイツとガキでいいじゃねぇか!」

 盛大に文句を垂れる次元に、ヴェスパニア王国の伯爵、キースは静かな視線を向けた。

「あなたの力が必要なのでね……それに彼はいくら東洋人とはいえ若すぎる」

「かーっ!こいつの見た目に騙されやがって!」

 コナンは、嘆く次元と笑うナマエを交互に見た。

「……知り合いなの?」

「ん?まー、ちょっとね」

(出たよ…)

 一体ナマエの交友関係はどうなっているというのか。周りが聞けば「オメーもだよ」と突っ込みそうな感想をコナンは抱いたのだった。

「なーにが知り合いだ!テメェには苦労させられっぱなしだぜ。FBIにCIAにKBG、はてはICPOにまで顔が効くくせによ…」

「おっとー次元君、あんまりお喋りが過ぎると“とっつぁん”呼んじゃうよー」

 漏れ聞こえた世界各国の諜報機関の名前は、聞かなかったことにしておいた方がよさそうだった。



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