酷いだけの話

 組織にとらえられてどれほどの月日が経ったのか。
 もう日常と化したレイプはそれでもナマエの精神を容赦なく抉っていく。ある日、見たことのないメンバーがその行為に加わった。ジンと、ライと、もう一人。褐色の肌にベビーフェイスだが、どこか東洋の血を感じさせる男だった。コードネームはバーボン。

「雌一匹では足りねぇな…ライ、ケツを出せ。兄妹まとめてかわいがってやるよ」

 僅かに眉を顰めただけで、ライは抵抗らしい抵抗もせず言われた通りにズボンを下した。いつも通り、嫌になるほどいつもの通りの冷静な顔で。

「自分でほぐすかソイツにさせるか好きにしろ」

 言われて、ライとバーボンは顔を見合わせた。正直触るのも触らせるのもまっぴら御免だったが、ジンの言っているのは要約すれば二人でやれということだ。
 ナマエは男に尻を弄らせる兄の姿をぼんやりと見ていた。まるで信じられない。自分がこんな目に遭っていることも、あの兄がそんなことを甘受していることも。事情は何となく察していた。どうせ潜入の一環だろうが、ここまでやるのか。

「何を考えている…テメェはこっちに集中しろ。それとも兄貴のをしゃぶらされたいか?」

 髪を掴まれて無理やり顔を上向かされた。冷徹な瞳が目に入って思わず顔をそらす。他のどんな脅しよりも、ナマエはこの瞳が嫌だった。

「気に入らねぇ…ライ」

 ジンが視線と名前だけでライを呼んだ。ライはそれだけでジンの意図を察して自らナマエの傍へ寄った。

「何をすればいいか分かるな?」

 それは悪夢の序章に過ぎなかった。



戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -