マルコと殺伐とした関係(海賊ネタ)

エースまたはルフィが幼児期に逆トリしてきたのを世話してあげたお姉さん
その後海賊世界にトリップ。しかし知っている人は誰もいない。
人さらいに攫われて売られて買われる。
奴隷のように働いていたところ、通りがかったマルコに助けを求める。しかし今急いでいるとあっさり見捨てられる。
マルコにしてみれば似たような境遇の女はいくらでもいるわけで、縁もないのにいちいち助けていたらキリがないから。

ニ三年後、エースを仲間にした白ひげ海賊団が再び通りかかる。エースが主人公を見つけてマルコに伝える。世話になった恩人だと。
マルコは当然のように颯爽と鳥になって主人公を助け出す。
主人公はマルコの顔を覚えていた。数年前あっさり見捨てたくせになぜ、と。
自分がどれだけわがままなことを考えているかは自覚しながらも、やはりもやもやは消えず。

「……私を助けるなら、ここにいるほかのみんなも助けてよ。何の縁もない……二年前のあなたが見捨てた私と同じ境遇のみんなも。」
「それくらい朝飯前だよい」
「それならどうして……………!!」

言葉にならない理不尽。もちろん力を持たない者のひがみだと分かってはいる。

主人公は味覚も痛覚も鈍くなっているので、この世界を夢と認識している。
エース(ルフィ)も逆トリしてきたあの世界を夢と認識していた、でも現実だったんだ。

主人公はマルコの助けを拒み、マルコの背から飛び降り、海へ沈む。その場には能力者であるマルコとエースしかおらず、助けにいけない。
エースには悪いがマルコはもう諦めかけていた。
マルコにとってエースの恩人というだけの記号でしかない。
エースはそれを悟って自分も飛び込む。
こうすればどんな手を使ってもマルコが助けてくれることは分かっていたから。
何もない海の上、マルコはどうにか二人を助ける。
そして主人公にキレる。エースまで巻き込んだんだお前ェは!死にてェなら誰の目も届かない誰に迷惑もかけないところでやれ!と。エースの目の届くところならエースが助けないわけはないから。

「…まるでエースに意思がないみたいな言い方ね、“お兄さん”?エースが飛び込んだことまで私のせいにしたら、エースがかわいそう」

主人公とマルコの関係は最悪なまでに。





どうにかして助けられた後、もう自殺衝動はなくなり、呆然自失となる主人公。
一応ちゃんとご飯も食べるし喋りもするけど、どこか遠くを見ている。

「私を置いて行っていいよ、エース。迷惑でしょう。もう……やる気がなくなっちゃったの」

静かにそう言うけれど、当然おいていけるわけもない。

「私はあの世界の……あの国の平和さを、ずっと当たり前に享受していたけれど、……あんなにも恵まれていたんだね」
「……ナマエ?」
「ねぇ、エース。……エースとルフィが来たときは、どうやって元の世界に帰れたんだっけ?」
「……サボが、……おれのきょうだいが、迎えに来てくれたんだよ」
「きょうだいか……じゃあ私は無理かもなあ。だってあの世界じゃあ、誰も本気で異世界の道なんて探すわけない」

沈黙がおりた。

「重い空気にしちゃってごめんね?……ルフィくんは元気なの?」
「あっ、おう!元気だぜ。最近なんか、しょっちゅう新聞に載ってんだ」
「それってやっぱり、悪いことしてるの?海賊行為」
「あーまあ、海軍にとっちゃ海賊のすることは全部“ワルイコト”だろうしなあ」
「ふぅん……見たいな、記事」
「……!!おう、待ってろ、持ってくる!」

マルコあたりはいつまでもうじうじしているナマエに苛立っている。安全な島で降ろすと言っても、エースが納得するような島に降ろせるのはいつになることか。
エースはまるで、巣から落ちたひな鳥を守るようにナマエを守った。

「……そろそろ身の振り方を決めておけよい」
「決めるも何も……どこかの島で降ろしていただければそれで十分です。それまでは雑用なりなんなりさせていただきます。食料が不十分なら私は今の半分で結構よ、どうせ多すぎるから」
「降りた後はどうするんだよい」
「さあ……どこか雇ってくれるところを探すか……」
「なかったら?」
「……まあ私も一応女なので。娼婦でも何でも、いざとなれば道はありますから。……今は常識も何もないかもしれないけれど、物覚えは悪い方じゃないので。運が良ければなにか職が見つかるでしょう。見つからないなら……それはあなたが心配することじゃありません」

どうせ私のことなんかすぐ忘れるでしょう、とは言わず。

マルコとしては、彼女がいつまでもどこか陰りのある表情をしているのが気に食わなかったが、全く同じその表情でそんなことをあっさり言ってのけるものだから、
何の力もない弱いだけの女と突き放すことはできなかった。陰はあっても、芯がないわけじゃない。

「……いつか見つけたら高値で買ってやるよい」

それはマルコなりの賛辞の言葉だったが、主人公はざっくりと、深く深く傷ついた。

「……それはそれは、結構ですね」

是か否か。

追記
(2016/12/17 10:53)
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