夢を見た。

真田が俺をお見舞いに来ていて、話の途中、ふと自分の腕を見た。
その腕は白く、気味悪く血管が浮き上がっている。
この血管を掻き切ればどれだけの血が流れるのだろう。

そんな事を考えていたら、「俺はそろそろ帰るとしよう」と真田が席を立った。

「待って!」

そう言って、俺が見た腕と同じ方、真田の左腕を掴んだ。

真田の腕はよく鍛えられていて、俺とは違い、太く美しい血管が通っていた。



真田の体には、

どんな色の血が流れているのだろう。
どんなに美しい血が流れているのだろう。

すると無意識に、近くにあった果物用ナイフを手に持っていて、真田の腕に突き立てていた。

「なっ、幸村…ツ…!?」

血が、少し経ってから溢れ出した。

それは、赤い。
とても鮮明な、赤。

殺風景な、白い箱の様な病室が、愛する真田の血で、紅に染まっていく。

それが堪らなく嬉しくて、何度も何度も真田を刺して、真田の顔は、どんどん蒼白に、というより青白くなっていく。

そんな、夢――――




夢から覚めれば、隣には真田の寝顔が。
真っ白なシーツに埋まっていた。
枕代わりにしているらしき腕には、やはり美しい血管が通っている。


そんな病室を、夕日が朱く染めていた。




それは、赤く、紅く、朱い。
(狂おしい程愛おしい貴方の事を)
(その赤い体液の一滴まで愛す)

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