おいかけて、つかまえる | ナノ


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アオちゃんとちゃんと話せて仲直りして一件落着

…と、言いたいところだけどここはアオちゃんの部屋なんだよね

部屋も女の子の部屋って何か明るいし、抱きしめた時みたいないい匂いがする
私物とかもあまり見たことない可愛い物や色のものが多くてとても新鮮だ

今ボクが座っているのはアオちゃんのベット
いつもここで寝ているのか…なんて!ボクは何を考えてるのだろう


「泉田先輩?」

そんな可愛い顔をして見つめないでよ

もう一度軽く口付けて「アオちゃんが可愛すぎて何度でもキスしたくなる」って思わず口にすれば、アオちゃんはボクの胸に顔を埋めてしまった

ちらりと覗く耳か真っ赤で照れているのだろうか

「本当、可愛い」
「先輩は本当にずるい」

好きだよと言えばギュッと抱きついてくるから

ドクドクと聞こえる心臓の音は速くて、ボクのなのかアオちゃんのなのかどっちかわからない

抱き合うお互いの温もりがボクは凄く好きだ

「こっち向いて?」

素直にこちらを向いてくれるアオちゃんの頬にそっと手を添えると、またボクがキスをするのがわかったみたいでアオちゃんはそっと目を閉じた

目を閉じた時のまつ毛が可愛い
少し頬を赤らめて、付き合って少したつのにまだこんなにも可愛い顔をしてくれるんだね

可愛い、本当に可愛い

キスしたら止まらなくて
きっとアオちゃんの部屋で二人きりだからって思ったら余計に変な気持ちになってるのかもしれない

何度も何度も、止まないキスを必死に受け止めてくれるアオちゃんが愛おしくてたまならくて

うっすらと唇に隙間が出来たから、もっと…って欲望が止まらなくて思わず舌を差し込んだ
…まだそういうキスをするつもりなんてなかったのに、なんて頭では思っていたのに止まらなかった

アオちゃんの柔らかい舌が気持ちよくて止まりそうもない
ボクの腕をギュッと掴んで、必死でついてきてくれるアオちゃんが愛おしくて可愛くて堪らない


アオちゃんの力が抜けたのかボクの押しが強すぎるのか、どんどんアオちゃんが後ろに倒れ込んで行く
ベットだから痛むことはないだろうけれど、頭を支えてゆっくり押し倒す

「先輩…だいすき」
「ボクも大好きだよ、アオちゃんが大好き」
「先輩、もっかい…して?」

ああ…なんて殺し文句なんだろう
敬語じゃないアオちゃんが新鮮だし、赤い頬も潤んだ目も声も全部が可愛い

ベットに寝ている状態だから、髪の毛も無造作に散らばっていて
それでも綺麗な髪には変わりなくて掬ってはらりと落とせば髪の毛はサラサラとまたベットに散らばる

もう本当にに可愛いと好きと愛おしさしかない

もっとキスしたい抱きしめたい

何度も好きを言ってキスをして
髪を撫でて頬を撫でて、手を握って指を絡めて

ボクの首に絡みついてくるのにグッときて

不意に触れたアオちゃんの腰の部分
トレーニングで触れたことはあるけれど、あの時は無でいるから…なるべく…

改めて触れるとやっぱりボクとは違って華奢なのに柔らかい
もっと色んな所を触りたい

自分の手を上に移動した時にハッとした

…ボクは何をしようとしたんだ?
どこを触ろうとした??

危ない、雰囲気にのまれる所だった

もっと大切にすりつもりなのに、ボクは何を早まってたんだ

「ご!ごめん!!!!」

ボクが飛び退けば、アオちゃんはクスクス笑う

「先輩、慌てすぎ。でも嬉しかったですよ」

なんてとんでもない事を言うからボクは目眩がした

無防備に座るアオちゃんのスカートは乱れてて、それをボクが直せばまたアオちゃんは笑った

「先輩って本当に世話焼きですね」

…何かちょっと違う気もするけどまあいいか

「と、とにかく!アオちゃんと話せて良かったよ」

「はい、私も話せて良かったです。来てくれて嬉しかったです」

「本当にボクが女子寮に入る事なんて一生ないと思ってたけどね。でもやっぱり今じゃなきゃダメだと思ったから…お友達にありがとうと伝えておいて」

「真面目な泉田先輩がここに来てくれるなんて本当に信じられない…けど本当に嬉しい。友達には伝えておきます!先輩、ありがとう」

「ううん、こっちこそありがとう。本当に色々ごめんね」

ボクがそう言えばアオちゃんは、ううんと横に首を振ってそっと抱きついてきた

「先輩の気持ちがちゃんと知れて嬉しかったです。本当に大好き、これからも仲良くしてください」

「勿論、ボクだってずっとアオちゃんと仲良くしていたいんだ。気持ちだって変わる事なんてないから」

その時見せてくれたアオちゃんの笑顔は綺麗で、でも儚げにも見えて天使にしか見えなかった

ボクはこんなにも…こんなにもキミのことが好きなんだよ
しかもきっと想像以上に盲目的に

もっとちゃんと伝わるように、これからもっと大切にするから

「そろそろ行かないと」
「わ!遅くなっちゃいましたね、すみません」
「ボクは大丈夫だから。また明日学校でね」
「はい、また明日」

キスをして抱きしめてもう一度、今日最後のキスをして

窓から外に出ればアオちゃんが手を振るから
ボクも手を振って、色々言いたいことはまだあるけれど内緒で来てるから

声には出さず「大好き」と言えば
もう薄暗いのにちゃんと見えていたようで、アオちゃんも「私も大好きです」と返してくれた


寮に帰れば、すぐさまやって来たのはユキと拓斗

「色々迷惑をかけてすまなかった。ちゃんと話して解決出来たよ」
「ったく…まあでも良かったな」
「塔ちゃん、いい表情だね!良かったね!」
「本当にありがとう」

その後、今日あった出来事をユキ達とずっと話して

「櫻宮の事もちゃんとしとけよ」
「そうだね。でも、その、ボクが好き…とか決まった訳じゃないからどうもこうも」
「ま、どーせ近々櫻宮から何か言ってくるだろ」
「痺れ切らして告白とかー??」
「そんな感じ」
「そ、そうかな。まぁでもボクの気持ちはハッキリしてるから…言われた時はきちんと話すよ」


本当に、櫻宮さんのことはちゃんとしなければ
ただの気まぐれで彼女がボクに話してるだけならいいけれど、そうじゃなかったらきちんと話さないとな

もう絶対にアオちゃんを泣かせたくないから
アオちゃんが不安になる要素は取り除きたい

アオちゃんの顔がふと浮かんで思わず頬が緩んでいたみたいで、2人にからかわれた
けれど最近の自分を振り返ればそうやってアオちゃんともユキ達とも笑い合えるのってやっぱり幸せな事だなって改めて思ったんだ





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