「荒北先輩荒北先輩!」
「アァ?ンだよ山田ちゃん」

大体よー、コイツがこういう風に呼ぶ時はろくな事ねーかんな、ンだよ今回は

「今日、お昼一緒に食べませんか!?」
「はぁ?めんどくせー」

別に嫌な訳じゃないけど
あんま甘やかすと調子乗るカラ
こーいう時は、断るに限るつーか

「そんな事言わないで下さいよ!お願い、先輩!」

ハイハイ、キラキラ攻撃ネ
もうその手には乗らねェし
何でもお願いつったら聞いてもらえると思うなよ!ったく…

「また今度な」
「今日は、ダメですか?」
「ムリ」

「そうですか、仕方ないですね…じゃあ大田原先輩と食べますね」

大田原先輩に前に誘われたし…って山田ちゃんが呟く

ハァ?大田原だと?ンでよりによってアイツなんだよ
つーか、アイツ山田ちゃん狙いで下心ありまくりじゃねーか!
気づけよバァカ!オレが睨みきかせてっからいいものを、このバカは…クッソ

「中庭」
「はい!チャイムなったらダッシュで行きます」
「ハァ…」

嬉しそーに笑ってんじゃねェよ!
やっぱ甘ぇわ、オレ



昼休み、中庭に行くと既に山田ちゃんがいて
肩で息をしてるしどんだけ急いで来たんだよ

「そんなにオレに会いたかったのかよ」

なんて柄にもねー事言ってみる

「はい、早く会いたかったんです」
「……!」

素直に言うじゃナァイ
恥ずかしいヤツだな…もう少し恥じらえよ

「荒北先輩、大好きですよ」
「ハイハイあんがとネー」
「流された」
「流してねェよつかオマエそれ他の奴に言うんじゃねーぞ勘違いされっぞ」
「いいませんよー」

そうやってヘラヘラ笑う顔かどこかの不思議ちゃんを思い出すからゲンナリする
わかってんのか?危なっかしくて仕方ねぇ

「ゼッテー言うなよ」
「だから言いませんよー!大好きなのは荒北先輩だけだもん」
「あっそ」

ったく本気なのか冗談なのかわかり辛いつーか

毎度言われる方の身にもなれよ扱いに困んだよ!

「で?山田ちゃんはオレのドコが好きなのォ?」
「え…」

急に顔赤くすんなよ、んでここで照れんだよ!
ヘラヘラ返してこいよ!こっちが恥ずかしくなるだろバァカ!

まぁ、こっちばっか振り回されるのも癪に障っからたまにはイイかもな

「言えねーんだ」
「い、言えます!沢山あり過ぎて、あの、あの」
「ヘェ、じゃあ言えよ。聞いてやんよ」

「はい、あの…まずその顔が好きです、目も口もかっこいいし黒い髪の毛かっこいいし、声も好きだしスタイルも素敵ですし!細いのに無駄な肉なくて腹筋割れててかっこいいし自転車に乗ってる時の……」

どんだけ言うんだよつか褒めすぎだろ
顔が好きとか何なんだよ、ンなわけねーだろ
つか腹筋好きとかどこ見てんだよボケナス

まだ話している山田ちゃんの顔が必死過ぎて笑えてきた
ほんとバカだ、バカ

「あと、何だかんだ優しいから、そこが大好きです。時々冷たくても本当は優しいし、甘えたくなるんです」

そう言って抱きついてきた山田ちゃんに戸惑ったケド、普段なら頭叩いてやる所だけど今日は甘やかしてやってもいーかなとからしくない事思ったりして

「バァカ、必死過ぎんだよ」

そう言って頭を撫でてやると、驚いたのか山田ちゃんの肩が跳ねる
恐る恐るこっち見んじゃねーよ

「大好き、先輩」
「ハイハイありがとネ」
「先輩は?私のことどう思ってますか」
「ドウダロネ」
「意地悪」
「ハッ!何とでも言えバァカ」

オレを睨む山田ちゃんは全然怖くねぇ
反応しないでいたら、今度は眉を下げて「なかなか伝わらないなぁ…」って呟く山田ちゃんが正直に可愛いと思ったカラ

「ちゃんとわかってンよ」

そう言って唇奪ってやったら、山田ちゃんは茹でたこみてーに顔真っ赤にして

「い、いまっ今!キ、き、キス」
「謝んねーぞ」
「謝らなくていいです!だからその、お願いします、も、もっかいして下さい」
「ハァ?」
「もう1回とは言わず100回位して欲しいです」
「何言ってんだバァカ」

ンで100回なんだよ本当にアホか
でもよ、やっぱ可愛いわ

山田ちゃんには敵わねぇつーか

だからとりあえず1度しか言わねェからちゃんと聞いとけよ

「オレもちゃんと好きだかんな」

オレがそう言ったら山田ちゃんがクビに絡みついてきて、そのままキスしてくるからオレは結局コイツに振り回されるんだろーな、なんて思ったり

山田ちゃん限定で振り回されるのも嫌いじゃねーのかよオレ
ダセェなホント
まぁ、お互い様ダロそこは
そういう風にしか今は出来そうにねェケド、ま、そゆのも成り立ってれば有りだろ

「先輩、もう一回!先輩からキス!して下さい!お願い!」

「イヤだ」

さ、オレは今から始まる山田ちゃんのお願い攻撃に勝ったか負けたかどっちでしょーか?

ったく…





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