※大学の入学直前なのに合宿に行ってるなど捏造してある部分があるので注意です





今年は、今年こそは…
と計画し始めてもう数ヶ月

それは先輩の誕生日のお祝いの事で

去年は…私が入学して部活に入った時には既に先輩の誕生日は終わってたから

好きになったすぐの頃、レースの申し込みの書類をまとめてた時にふと「荒北先輩って誕生日いつなんだろう?」って誕生日の欄見たんだよね

そしてとっっくに過ぎてるのを知って暫く落ち込んだっけ


付き合ってから先輩にその話をしたら「誕生日ィ?別に祝われて喜ぶような歳じゃねーし興味ねェ」ってバッサリ切られたっけ

そんな事言いながらもそれなりにイベント的なのは一緒にちゃんとしてくれるし
多分それなりに楽しそうにしてくれるし

先輩が生まれた素敵な日を祝いたいと思うのはもう仕方ないと思うし興味無いなんて先輩は言うけど多分喜んでくれる…気がするし


おまけに神様からのプレゼントかな?ってタイミングで先輩の誕生日の日は部活が休みで
春休みだし、実家に帰る人ばかりだけど私は帰らずに先輩の家に向かう


先輩のスケジュールは把握済み
誕生日の日のお昼前に合宿から帰って来るんだ

1日の夕方、部活が終わってすぐに電車に飛び乗って静岡に向かう
前に貰った合鍵で先輩の家に入る

「いつでも好きな時に来ればァ」

って言った先輩に何度も何度も「先輩いなくても入っていいの?」「他人に勝手に入られて嫌じゃない?迷惑じゃない?」って聞いたっけ

「バァカ。嫌なら渡さねーダロ。フツーに。」

気にしすぎィって頬を抓られて笑われた時を思い出して胸が擽ったい


部屋に入れば少し散らかってる先輩の部屋
先輩の匂いがして涙が出そう

遠距離は辛いし寂しい
まだひと月たつか、たたないか位なのに寂しくて

けれどこうして自由に部屋に入る事を許してくれる位、大切にされてるんだからと自分に言い聞かす

片付けからしよう!
と先輩の脱ぎ散らかしてある服を集めて洗濯機に入れる

洗い物をしたり掃除をしたりしながら思うのは、好きな人の為ならこんなにも幸せな気持ちになるんだって事

今日は片付けをして、明日の準備をして…と考えたら楽しくて仕方なかった


夜は先輩のベッドに1人で寝た
24時におめでとうとLINEしたかったのに、先輩の匂いに包まれたら秒で寝落ちてしまったから起きた時苦笑いしたのは言うまでもない

だからもう直接言おうって連絡するのを我慢した

先輩、私がいるの見たら驚くかな?

ワクワクしながら先輩の好きな唐揚げの下ごしらえをして、その後壁にHappybirthday!!!の飾り付けをした

先輩の部屋が可愛くなってちょっと面白い

ケーキ、本当は作りたかったけど先輩の家そんな道具ないから先輩の家の近くのケーキ屋さんを調べて予約済み

開店と同時に取りに行って冷蔵庫に入れて

今からご飯作り始めたら丁度いいかな?
とせっせとご飯を作る

作ったご飯をテーブルに並べて先輩の帰りを待つ

静かな部屋だから外の音もよく聞こえるなぁ
車の音、人の声に風の音
ボーッと耳を傾けていたら足音が聞こえて、何となく先輩の予感がした
何でだろう、不思議とそう思ったの

そしたら鍵が開く音がしたからやっぱり正解だ

「先輩!お誕生日おめでとうございます」

ドアが開いた瞬間にそう言って飛び付いた

「ハァーー!?!?」と言わんばかりの先輩の顔
声になってないし、多分目見開いてるし

「おかえりなさい」
「お、おー。ただいまァ…って来てたのかよ」
「勝手に来て怒った?呆れた?」

ちょっと心配になって聞けば先輩は「バァカ。怒るかかよ。驚いたケド」って言ってくれた

「ご飯まだですよね?」
「マダ。腹減ったァ」
「ご飯一緒に食べましょ」

部屋に入るなり先輩がまたポカンとした顔をするけど、何も言わずテーブルの前に座った

「いただきます」と言って食べ始めたら凄い勢いで食べてくれて嬉しくなった

美味しいとか言ってくれる訳じゃないけどそれでいい
これだけ綺麗に食べてくれたらそれでいい思ったのに

「美味かった。ゴチソーサマ」

そう優しい顔しなが言う先輩はズルい

テーブルを一旦片付けてコーヒーを入れて
キッチンでロウソクをつけてからテーブルに戻る

「ンだよ!ケーキまであるのかよ」
「誕生日と言ったらケーキでしょ」
「無理すんなよ」
「してないですよ!2人だし小さいやつだし」
「あっそ。ならいいけど」

私がハッピーバースデーの歌を歌って、先輩にロウソクを消すように言ったら「小っ恥ずかしい」とかなんか言ってたけどちゃんとフーーってしてくれた

「先輩、生まれてきてくれてありがとう!大好き!」

と抱きつけば先輩はまた「あんがとね」って言うの

その声が優しくてたまらず先輩の顔を見たら、凄く優しい顔をしていたから私は胸がいっぱいでギュッとなって

好きすぎて苦しい位

「先輩、幸せすぎるよ…」と思わず漏らせば

「ハァ?幸せなのはオ」
「お?」
「…ンでもねーよバァカ」

そう言って先輩は誤魔化すように私にキスをしたんだ

幸せなのはオレって言おうとしたのかな?
突っ込んだら怒られるから何も言わないけど、幸せだと思ってくれてるならこんな嬉しい事はない

唇が離れて目を開ければ先輩の顔が至近距離にあって
お互い見つめ合えば先輩は私の頬をやんわり摘む
そしてそっと頬を手で包み込まれて「アオチャン、あんがとねェ」とまたキスをしたんだ

優しい先輩の顔を見れるのは私だけ

普段会えなくなった寂しさから変な独占欲と幸せな気持ちが入り交じって苦しい

堪らなくなって先輩の胸に顔を埋めたら
「誕生日っつーのも悪くねェな」って言うから、来てよかったと一緒にお祝い出来て良かったと心底思ったのだった




- - - - - - - - -


誕生日なんざ正直この歳になって気にしねぇ
が、祝い事が好きなアオはきっと何かしら連絡してくるだろうと思っていた

ケド日付が変わって来た連絡は他の奴らからだった
柄になく、気にしてる自分が気持ち悪ぃとアタマを掻く

帰宅途中も何度かスマホを見るが何もねェ

アパートの階段を上がればどこからかいい匂いがして

腹減ったァ後で何か買いに行くか…と思ってドアを開ければアオが飛び付いてきた

来るなんて聞いてねェし…!って驚いたがコイツならこれ位してもおかしくねぇか

勝手に来たことを怒ってないかアオは聞くが、嫌ならそもそも鍵なんざ渡さねェだろバァカ

片付けられた部屋に飾り付けられた壁
出来たての料理の数々

オレの為に…と思うと何とも言えねぇ気持ちになる

アオの作るメシが美味いのは知ってるがやっぱり美味い
外食や買ってきたモンばっかだから体に染みるっつーか

小っ恥ずかしいからそんなに何度も言えねぇけど、礼を言えばアオは嬉しそうな顔をするからァ

あーなんかこの時間イイかも…なんて柄になく思った


ローソクの火ィ吹き消すのもケーキ食べるのもおめでとうと言われるのも…なんつーか…

誕生日も悪かねェ

そんなよーな事を言えばアオは嬉しそうに笑うからァ

なんかオレも丸くなったと心の中で苦笑いしながらもこのあったけェ時間が心地よくて

ケドやっぱり小っ恥ずかしいから誤魔化すようにアオを抱きしめた



prev next
back


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -