アオちゃんと顔を中々合わさない日々が続いていた時、本当はもっと連絡を取りたかったし電話も何度もかけるか悩んだ

結局電話は出来ないままで


忙しい日々故に忘れている時もあると言うのに、不思議と朝起きた時はいつもアオちゃんの顔が真っ先に浮かぶんだ

だから結局会いたいと思わない日はない



たまたま寄ったコンビニにアオちゃんが居たのを見た時は、会いたい余りに見た幻かと一瞬目を疑ったが現実だった

そのコンビニでバイトをし始めたと聞いた

会える、買い物を口実に会える…!

そう思ったら心が踊った

アオちゃんにその嬉しい気持ちを伝えてもやっぱりいつものように笑ってあしらわれてしまった

どうしたものか、と考えてもいい考えは浮かばない

かっこよく在りたいのにアオちゃんには駆け引きや計算なんて本人を目の前にしたら出来なくて
結局素直にそのまま気持ちを伝えるけどやはり上手く行かない

何がいけないのか、考えてもずっとわからない

が、考えられるのは多分…
1番は年齢差の事なのだろう
そのような事をそれとなく口にしたのを何度か聞いたから
きっとアオちゃんは意識して言ってないだろうが…

そんなもの、関係ないとオレがどれだけ言ったところで彼女なりに色々…難しいのかもしれない

今がダメならまだ待とう
時が経てば今程年齢差なんて気にならなくなるだろう?
オレはそれまで待てる

いや、アオちゃんに好かれる保証なんて何処にもないのに何を言ってるんだろうな

今までは浮いた話は聞いた事がないが、恋人が出来るかもしれないのに
もう大学生だからそんな事有り得るのに

でもそれはならんよ

待つ気持ちはあるけれど、何もしない訳ではないんだ

そんな風にただ見てるだけだったら、誰かに掻っ攫われるかもしれないだろう

それは絶対に阻止せねばならん


「いらっしゃいませ。あ、尽八くん!お疲れ様!」
「ああ。アオちゃんもお疲れ様!今日は何時まで?」
「もうあと10分で終わるよ」
「なら待ってていいか?」
「え、悪いよ!」
「送ってくよ。…いや、送らせて欲しい。久しぶりにゆっくり話がしたいんだ」
「うん、ありがとう。私も久々に尽八くんと話したいかも」
「そうか!」

その一言が、どれだけ嬉しいかアオちゃんは知らないだろうな

待ってるたった10分の間もとても長く感じる位、アオちゃんが恋しかった


「お待たせ、尽八くん!」
「いや、待ってないよ。お疲れ様、アオちゃん」

久しぶりに隣を歩く
暑くなったとは言え夜風は気持ちいいもので

たわいのない話をして
それがとても心地良い

話しながら笑うアオちゃんはいつもの話を流す時のそれとは違って、それが嬉しかった

「尽八くんは本当にどんどんかっこよくなるね。モテるだろうなぁ」
「まあ否定はせんよ」
「あはは、尽八くんらしいね。優しいしかっこいいし、彼女なんてすぐ出来ちゃうんだろうな」

胸が苦しい、そう思った
本当にオレの想いは一方通行だと、何故そんな事を言うんだろうと

「彼女なんて作らない」
「なんで?勿体ない」
「何で?わかってるだろう?」
「え」

少し腹が立ったんだと思う
笑う余裕もなくて少し声も震えた

「アオちゃんが好きだから、彼女なんて作らない」

オレの言葉にアオちゃんの瞳が揺れる

抱きしめてしまいたい
けど自転車を引いているから出来なくて

それで良かったのかもしれないがもどかしい

伝われ、少しでも

「私なんて辞めときなよ」
「何故だ?」
「歳上だし、もっといい子がいるよ」

ああ、そんな事

「そんなの関係ないよ」
「私はあるもん」
「オレの事は恋愛対象ではないと?」

アオちゃんは視線を泳がせて、目を伏せた
少し呼吸を置いて口を開いた

「…そうじゃないけど」
「じゃあ考えて欲しい。ゆっくりでいいから」
「でも」
「アオちゃん」
「…うん」
「待つから…その…」
「うん、ごめんね」

ありがとう

そう言うアオちゃんの表情が儚くて、やっぱり抱きしめてしまいたくなったけど、早まるなと自制をかけて
誤魔化すようにハンドルを握る手を強めた

やっと、ほんの少し前進しただろうか

少しずつでいい

やっと掴んだ手応えが嬉しくて

もっとアオちゃんに近づけるように、年齢差なんて感じさせないようにオレは少しずつでもアオちゃんとの距離を縮める術を考えていた










prev next
back


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -