今日は部活が休みだからアオと一緒に過ごす事になった

ゆっくりしたいからウチに来てってアオが言うから、緊張しながらもアオの家に行った

シンプルだけど女の子らしい部屋に胸が高鳴る

色んな話をして、アオを見れば表情がいいな…と少し手応えを感じた

「アオ、好きだよ」

オレがそう言えば、ふんわり笑って「嬉しい」って言うんだ
まだふんわりした笑顔だけど、ちゃんと目にオレが入ってるのを感じて…気持ちが昂って

短いキスをしたら首に手を絡めて来て
そのままなし崩しに、キスをして
優しくするつもりだったのに、少しずつ激しくなるキスに自制をかけようと理性を働かせる

だけどオレにしがみついたままのアオに引かれて、アオを押し倒す形になってしまった

ダメだ、離れよう
そう思って距離を開けようとしたらアオはとんでもない事を言うんだ

「エッチしたいんでしょ、いいよ別に。私、初めてじゃないし」

そんな言葉、言わせたくなかった
聞きたくなかった

いつか…
いつかはアオを抱けたらとは思うけど、無理強いするつもりは微塵もない
この状態で抱くのは違うと思ってる

だけど投げやりな態度のアオに腹立たしくも感じて…悲しくなった

オレの想いなんて独り歩きしているだけでちっとも伝わってなんかない
どれだけアオを想ってもアオには伝わらない
どうしたらいいか、もうわからない
オレには、無理だったのかもしれない

そんなオレの気も知らないでアオからキスをしてきてオレの服を脱がすんだ

そんな風にさせたかった訳じゃない…
だから止めたのに…
アオは全然聞かないから情けない事にオレも、もう理性が何処かに飛んでしまっていた


怒り半分悲しみ半分
それでも優しくしたくて、痛い思いや怖い思いはさせたくなくて
残ってた理性を総動員して…優しく、したつもりだった。オレなりに

こんな風に抱くつもりはなかった
だけど、こうなってしまった

「好きだよ、アオ…好き」

それでも…少しでも気持ちいいとか、幸せだとかほんの少しでも感じて欲しかった


いざ、という時
ゴムは…カバンに入ってたかと探してたら


「ゴムはいいよ、私ピル飲んでるし。めんどくさいでしょ、つけるの」

その言葉にオレは凍り付いたんだ
なんで、なんでここまで投げやりなんだ
なんで…自分を大切にしない?

悲しさと怒りが入りまじる

「おめさん、もっと自分を大事にしろよ」

少し言い方がキツくなったかもしれない

だけど、アオはきょとんとした顔で「何で?」って言うんだ

本当に、素で…
ああ、オレが間違ってた
言い方を間違えた
この子は責めてはいけない。
どんなアオでも向き合おう、ちゃんと…
大切にするって心に決めただろ


「いや、悪かった。今日はもう何もしない」
「え、どうして?」

不安気な表情をするアオを抱きしめて、背中をゆっくり擦る

「ちゃんと話そう。悪い、もっとちゃんと話し合うべきだった」
「話し合う…?」
「アオが過去に何があったか…何が辛いのか…話せたらでいい、きちんと聞きたいんだ」
「話したら嫌いになるよ、私のことなんて」
「嫌いになんてならないよ」

本当に、もう覚悟はとっくに出来ているから

ポツポツとアオが話し出す

話すのも勇気がいる位の辛い過去
その言葉は拙いながらも懸命に話すアオに何とも言えない気持ちになる

弱いからこうなってしまったのか
投げやりにして自分を守ってたのか
やり方は凄く間違えていると思う
もっと上手く出来なかったのかとも思う
でもそれがアオの精一杯だったのだろう

時折「ごめん、汚くて」とか「嫌になったでしょ」とか「捨てていいから」なんて言うんだ

そんな風に思わない、嫌いになんてなるもんか

話し終えたアオを抱きしめて深呼吸を一つ

「自分を大切にしろ、じゃないな。オレがアオを大切にするよ、もっと。……だから信じろ、とは言わない。だけどもう少しオレを見て欲しい」

アオの視線がちゃんとオレを捉えて

「うん、ちゃんと見る」

見るから…ごめんね、ありがとう


そう顔を歪ませたアオが今までで一番、素に近い気がして…
また少し手応えを感じて、今度こそは間違えないと

今度こそは…
大丈夫だと不思議な自信が漲っていた



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