疲れた、疲れた疲れた…

大学が終わってバイト。その繰り返しの日々


バイトなのに無駄に責任ある仕事を頼まれて、断ればいいのについ断れず引き受けてしまう
本当だったらもう帰ってるはずなのに
帰ったらもうメイクだけ落として寝てしまおう


彼氏とも何日会ってないかな…
同じ大学なのに、学部が違うからかすれ違いばかり

高校時代は毎日のように顔合わせてたのに
私のバイトがこんな感じで帰ってもすぐ寝ちゃうから電話も殆どしてないし、毎日少しLINEする位で


会いたいなぁ…
明後日は私もバイトが休みで彼も予定がないから会える
たった2日、たった2日の我慢も私には今出来そうもない


でも実際は疲れてそれ所じゃないから、結局会いに行くこともないし彼も毎日忙しいからあまり無理は言いたくないし

仕事をしながらそんな事もぐるぐるぐるぐる考えて止まらない

「山田さん、これも宜しく!じゃあお先!」
「え!?あ、はい、お疲れ様です」

さっさと定時で帰れるのが羨ましい

私だって…と誰も聞いてないのをいい事にちょっと文句を言いながら仕事を進めれば思いの外早く終わったから足早に職場を去る


夕飯どうしようか
スーパーやコンビニに行くのもだるいし、家に何かあったかな
もう疲れたからカップ麺でもいいや

アパートに着けばどこからかいい匂いがして
他所のお宅は何のご飯を食べてるのかなぁ、なんて考えればお腹が減ってきた
…それでも私が食べるのはカップ麺だけど

何か作ればいいけれど、その気力もないし

鍵を開ければ私のじゃない靴
まさか!!

「はじめくん!!」
「…おかえり、アオ。……!!」

まさか彼が来てくれてるなんて思わなくて嬉しくて抱きつけば、はじめくんは多分びっくりしてるけどちゃんと受け止めてくれた

ギューッと抱きついて息を吸えばはじめくんの匂いでいっぱいで、とても幸せな気持ちになる
仕事の疲れなんて忘れてしまう位

顔が見たくてはじめくんの顔を見れば、はじめくんは私の顔をじっと見て

「おつかれ。毎日、忙しいんだろ」

私の事なんてもう何でもお見通しで、私の頭を撫でるはじめくんは「頑張ったな」って言ってくれているみたい
もう私もなんとなくわかるから



それにしても

「外で嗅いだいい匂い…!はじめくんこれ、作ってくれたの??」

私がそう聞けばはじめくんは頷いた
お皿には大量の回鍋肉と麻婆豆腐

「凄い凄い!!手作りのご飯とか久しぶりだし嬉しい…!!」
「……クックドゥだ」
「いや、それでも手作りには変わりないよ、ありがとう!本当に嬉しい!」
「そうか」

なら良かった、ってなんて優しい彼氏なんだろう
しかも洗い物までちゃんとしてくれてあるから本当に…
もう一度ありがとうと言えばはじめくんが
「アオ、きっと食べてないと思った」
「食べてるよ!ちゃんと」
「食べた内に入らない」

ここ数週間、カップ麺とコンビニのお弁当ばっかなのがバレていた
はじめくんも最初は外食にでもと思っていたみたいだけど、私のこの状況を見て作ってくれたらしい
スーパーで買い物して、ご飯作って洗い物もしてくれて本当に本当に優しいし幸せで仕方ない


久々に2人で食べたご飯は、今までで1番美味しく感じた
沢山食べるはじめくん、久しぶりに見たな
その姿が気持ちよくて大好きでじっと見ていたら、もっと食べろと言わんばかりに回鍋肉を口元に持ってこられたから思わず口を開けたらそのまま回鍋肉を突っ込まれた

「アオ、痩せた」
「そうかな?」

そんな風には思ってなかったけどはじめくんは、痩せたともう一度言って「だからちゃんと食べろ」って心配かけちゃったかも

ご飯を食べて洗い物をしようとしたら、はじめくんがやるからお風呂に行けって
お風呂もちゃんと沸かしてくれてあるとか何なの!!
お言葉に甘えて先にお風呂もいただいて

はじめくん、泊まってくって言ってくれたからはじめくんもお風呂に入って

お風呂上がりに一緒にお茶を飲みながらまったりする

「今日は色々ありがとう。ご飯も美味しかったし、洗い物も嬉しかったよ。なんか心配かけちゃってごめんね」

私がそう言えば、はじめくんは小さく首を横に振った

「アオは頑張ってるから」
だけど無理はするな、って言葉にたまらなくなって思い切り抱きついた

「はじめくんだって忙しいのに」
「体力はある」
「それでも… 」
「オレは大丈夫だ。ただアオに会いたかった」
「私も会いたかったよ!」

寂しかった…はじめくんも寂しかった?なんて変な質問なのにしっかり頷く彼が愛おしい

「はじめくん大好き」
「オレも…!」

言葉の続きを待てなくてそのままキスしたら、はじめくんはヤレヤレみたいな顔をしたけれど私の頬に手を添えてそのまま今度ははじめくんからキスをしてくれた


「明後日まで待てそうになかった」
「私も待てそうになかったから嬉しい。今日は寝る時ギュッてして寝ていい?」
「ああ」

はじめくんにギューッとしてもらいながら眠る幸福感
もっと噛み締めたかったのに、一瞬で寝落ちしてしまった


「アオ、寝たか。おやすみ」

本当にお疲れ様

そう言ってはじめくんにおデコにキスを落とされた事も私は知らないまま…

朝を迎えて目を開ければ1番に大好きな人の顔

「おはよう、はじめくん」
昨日はありがとうってほっぺにキスを落とす

いつも彼が起きるのは後30分後

それまで彼の寝顔を見たりくっついたりして彼が起きるのを待つ
そんな事をしていたら結局2度寝してしまって、今度は私がはじめくんのおはようのキスで飛び起きる事を私はまだ知らない










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