ひょんなことから始まった山田さんへの筋トレ指導も、もう何度目だろうか

真面目な山田さんは毎日コツコツ続けているようで

筋肉というものは素晴らしい
美しい筋肉はより素晴らしい
それはボクみたいな男に限らず女性でも

…でも、こんな事を言うのはどうかと思うけど、山田さんのあの女の子特有の柔らかさがどうにも忘れられなくて

あの柔らかさは残していたいなと思って

だからここだけの話、筋肉をつけると言うよりは体幹を鍛えるとか程々に筋力をつける程度の筋トレ方法を調べて…教えていたりするんだ

そんなボクの下心を知らずに、この子は一生懸命にメニューをこなすから何だか複雑な心境になる

半袖から覗く白い腕も充分細いし
お腹だって、柔らかいけど別に出てないし
足だって…

ダメだ、どこを見てるんだボクは

最近は指導中も余計な事を考えてしまって困りものだ

それでも一生懸命な山田さんのためにボクもしっかりしないと…と、山田さんを見ればずっと出来なかった腕立てのメニューが初めて10回連続で出来た

「泉田先輩!10回出来ました!」
「うん、見ていたよ!凄いじゃないか!」

ボクがそう言うとパァっと花開いた様な笑顔を向けられて

「毎日部屋でもやってた甲斐がありました〜」

「山田さんの努力の結果だね。本当に良かったね、偉いよ」

素直に思った事を口にして、山田さんの頭を撫でれば山田さんは何とも言えない表情を浮かべるんだ

それが嫌だからじゃないと、ちゃんと気づいたのは最近だけど…


「泉田先輩の指導のお陰ですよ、ありがとうございます!これからもご指導のほどよろしくお願いします」

なんて律儀な言葉とは裏腹に表情はとても可愛いから

「山田さんは可愛いね。うん、これからも一緒に頑張ろうね」

ボクがそう言えば顔を赤くして固まってしまって、そんな表情が堪らなく可愛いと思ってるのキミは気づいてるかい?

ボクの気持ちなんてきっと知らないだろうね
だけどそれはボクも同じ

キミはボクのことをどう思ってる?
それを聞くのはもう少し自信がついてから
臆病で情けないけど、今はまだこの穏やかな時間を過ごすのもいいなと思ってるんだ

「はい!頑張ります!自分でもちゃんとつづけます!」

その笑顔が大好きだよ

「うん、その心意気が素晴らしいよ!本当に山田さんは偉いよ。サボらず頑張ろうとする所、いいと思う。これからも頑張ろうね」

ボクの言葉にまた頬を染めて嬉しそうに頷く山田さんがやっぱり可愛くて、ボクも思わず頬を赤くしていたと思う




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