「荒北先輩、荒北先輩!!」
「ハイハイなんですかァ」
「今日ってキスの日なんだって、知ってました!?」
「はぁ?ンなの知るかよくだらねェ」
バッカじゃねーのったく
なーにがキスの日だよ、聞いたことねェよ
何でもかんでもナントカの日みたいなのつけたらキリねぇだろアホくさ
「という訳で」
「しねーし」
がーーーんって効果音つきそうなくらいのひでぇ顔
アオの言いたい事なんてわかってんだよ
そんなくだらねェ行事に踊らされてよ
ただでさえ、コイツそゆの好きなのに毎度毎度付き合わされる身にもなれっつーの
まぁキスすんの、別に嫌なわけじゃねーケド
つい反射的に言ってしまうっつーか
「キス、今日はしてくれないんですか?」
「シラネ」
オレがそう言えば隣に座ってた癖にわざわざオレの正面まで回ってきて、抱きついてきやがった
「さみしい」
「何がダヨ」
「先輩とちゅーしたい」
「あっそ」
「冷たいなぁ…」
「ハッ!今更」
オレが優しくなんかねぇの今更だろ
優しくってなんだよしらねーし
「でもいいや。先輩の匂い、好き。幸せ」
「嗅ぐな!」
「いやですー!」
オレが言うと余計に嗅ぐし、擦り寄ってくるしどんだけ甘えたがりなんだよコイツは
オレの何処がいいんだか
ほんっと訳わかんね
でもよ、ホントにずっとそやって言われ続けて好かれてんだって本気で伝わってきて、正直可愛いって思っちまうダロ
それをどう表現するかなんだろーけどオレにゃ無理な話だ
新開や東堂なら上手く出来んだろうけど
ホント何でオレなんだろうな
またギュッとアオの腕の力が入って「好き」って呟かれて
オレも思わず腕を回しちまったじゃナァイ!
クッソ!今日はしねぇつもりだったのに
何でって聞かれても、別に意味なんてねぇ、何となくだ
なのに結局いつもこうなる
ホントアオが甘え上手なのかオレが甘ぇだけなのか
「アオ」
オレが呼ぶと嬉しそうな顔で見上げてくるカラ
負けだ負け、もう無理
「目ェ瞑れ」
オレの言葉に素直に目ェ瞑って、頬染めて
…ハァ、ったく
そのまま口付ければアオの唇の柔らかさにほんの少し心臓が高鳴った
普段はあまり何も思わねェのに何でだろうな
「別に、キスの日とか関係ねェだろ」
「えっ?」
「そんなの関係なく、したい時に強請って来ればァ?」
オレの気分次第ダケド
って言ってんのにアオはそこは全然聞いてなくて
嬉しそうにまたオレに抱きついて、こっち向いて目ェ瞑るから
仕方ねぇな。さっきあぁ言っちまったし
オレは結局また、何度もアオにキスするハメになった
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