今日も終わった終わった

ハァーとため息をひとつ

まだまだ部室で寛いでいる奴らが数人
ま、オレもその中の1人か

部室にあるイスに座りカベにもたれ掛かる
外から声がするな…この声は……
真波とアオじゃねぇか

そいやあいつら外で座って茶飲んでたっけ
アイツらが2人でいる時の雰囲気はいつも年寄りくせーつーか

「ねぇ山田さん」
「なーに?真波くん」
「荒北さんと最近どう?」
「仲良くしてるよー」
「ふーん」
「自分から聞いといて何それ」
「あはは、ごめんごめん!」

なんつー会話だよ。くだらねぇ話してんなよ
オレの名前出すなっつーの!バァカ!

「いつ荒北さん好きになったの?そいや、聞いた事なかった」
「うん、言ったことないね」

言わなくていーだろ別にンなこと

「ねー、今暇だし聞いてあげるから教えてよ!」
「えっ真波くんとコイバナするの!?」
「コイバナ〜?そーなるねぇ。あ、でもオレは何もないけど」
「またそういうの出来たら教えてね」
「うん!で?」

で?じゃねーよ真波ィ
おめー何だかエラく上から目線じゃナァイ
つかアオも気づけよバァカ!

シラネ…って思いつつもオレん事話すとなると気になるっつーか

「そうだね…とにかくまずは見た目にね惹かれたの」
「ああ、山田さんちのネコそっくりだし?」
「そうそう!」

そうそうじゃねーだろ…あのネコな…

「で? 」
「でー、初めて話しかけた時は緊張したなぁ」
「ふーん」
「何か怒られそうだし」
「あははわかる!」

失礼なヤツらだな
別に何もなかったら怒んねーし
あいつらオレをなんだと思ってんだ

「でも、先輩だけボトル持ってない時があってね。渡しに行った時に初めてまともに話したんだ」
「へぇー」
「その時にあんがとネェ≠チて言ってもらったの!!」
「そうなんだぁ」

いや、普通に礼くらい言うっつーの
しかし真波の相槌も適当すぎじゃね?

「その時の声と顔が好きすぎて!もう目で追うよねその日から」
「ふーん、そっかぁ」
「そっから部活前とか後に話しかけるようになってー、仲良くなったんだと思う」
「そうなんだー。で?」
「うん、で話してくうちに好きがどんどん大きくなったの。先輩、ツンだけどデレの時もあるの!」
「所謂つんでれって奴?」
「そうそう!だからー、気づけばどんどん好きになって今に至る!多分ずっと好きだったんだと思う」
「そっかぁ。荒北さんはいつ山田さんを好きになったんだろうね?」
「…そんなの聞いたことないよ」
「聞けばいいじゃん」
「聞けないよ!知るかンなのバァカって言われて終わりだよ」
「あはは!モノマネ似てないね」

モノマネ…恥ずかしい事してんじゃねーよ
アイツら言いたい放題言いやがって

…そいや、いつからあいつが好きとか考えたこと無かったな
気づけばって感じだったし
知らない間にオレの懐にどんどん入ってきたつーか
絆されちまって…

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「荒北先輩!」
「あぁ?んだよマネージャーか」
「お疲れ様です、あの、ボトル忘れてます!どうぞ」
「あぁ、わざわざあんがとネェ」
「いいえ、気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ドーモ」

確かにこれが初めてマトモに話した時だったな
つかオレも覚えてんのかよ…
あの時から徐々に絡まれることが増えたっけ

「荒北先輩!お疲れ様です」
「お疲れ様ァ」
「今日も速くてかっこよかったです!」
「かっ…!何言ってンだよバァカ」
「へへ…本当の事です」


「荒北先輩荒北先輩荒北先輩」
「ンだよ朝からうるせぇ」
「先輩、タイム凄く伸びてました!すごーい!」
「ンなの凄くねーし」
「凄いですよ!本当にお疲れ様でした」
「はいはいあんがとネ」


「荒北先輩!聞いてください聞いてください!」
「ハイハイなんですかぁー」
「先輩の構ってる猫ちゃんの好物…気づいちゃった」
「バッ…んで知ってんだよ!猫の事!」
「ふふふ秘密です〜!ね、お昼休み一緒に見に行きません?好物持ってきたし」
「くっ……いいじゃナァイ」


毎日毎日、荒北先輩荒北先輩荒北先輩って
怒ってもウザがっても懲りずに寄ってきて

その癖、部活中は黙々と仕事して

手ぇ真っ赤にしてボトル洗って、背ぇ足りてねぇのに洗濯頑張って干して
手あてに記録つけたりやる事沢山あんのに弱音一つ吐いたことねぇ

で、オレの事かっこいい、優しい、好きだ…
そんな事言われ続けてー?冗談じゃなくて真剣なの知っちまったらな

こっちも真剣に考えんだろ

そっからちゃんとオレも好きだって言ったし
恥ずかしいカラそんな何度も言わねーケド

純粋に気持ちを向けられるっつー事は悪い気はしねぇんだなって初めて知ったし
バカでわがままですぐ泣くけど、オレにとってはスッゲェ可愛いンだよアオは



「山田さんは荒北さんが凄く好きなんだねぇ」
「うん、大好き!」
「あはは、そっかー。あ、付き合ってどれ位なの?」
「付き合って…る、のかわかんない」

オレはズッコケた
いや、心の中でだけど

「え、なんでー?荒北さんは好きじゃないの?山田さんのこと」
「うーん、好きって言ってくれたけど、付き合うって話した事ないし」
「あー…でも付き合ってるって事でいいんじゃない?」
「え、彼女ヅラしてはぁ?何彼女ヅラしてんだよバァカ付き合ってねーし≠ニか言われたら立ち直れないよ」
「だからさぁ、その変なモノマネ辞めなよ。面白いけど」
「うるさいなぁ」
「あはは、ごめん。でも今度ちゃんと聞いてみたら?」
「うん…また聞いてみる」

……つーか
散々、伝えてたつもりだったけど…
全然伝わってなかったじゃナァイ!
そこまで言わなきゃわかんねぇのかよ!
バカかアオは!何も分かっちゃいねぇ!

つかオレも悪いのか…クソッめんどくせぇ

「頑張んなよ。じゃあオレ走ってくる!」
「相変わらず急だね真波くんは。うん、聞いてくれてありがとう〜」
「ぜーんぜん!じゃあまたねー!あ、荒北さんもお疲れ様でした!」
「え!?」
「多分中で聞いてるよ」

真波ィ!!やってくれるじゃナァイ
本当にあの不思議チャンは喰えねぇ奴だ…

思わず外に出るとすっかり真波は居なくなっていて

「荒北先輩…聞いてました?」

おそるおそる、そんな顔

「あー…まぁな」
「ごめんなさい」
「何がァ?」
「変なモノマネとか」

そこかよ!このバァカチャンが!

「いや、それはイイケド別に。…まぁ似てなかったけどな」
「ごめんなさーい」

「なぁ、アオ」

「はい?」
「少し、話すか」
「へ?」

そゆ話はこんな所でするもんじゃねーし
中庭まで来ればもうこの時間は人は来ねぇ

「アオチャン」
「はい」
「バァカ」
「いたたたた」

アオの両頬をつねって軽く引っ張る
柔らかい頬はよくのびる…ハッ!おもしれー顔してんな

手を離して今度は頬を包む
そうすると目ェ潤ませんだよな、いつも
それは痛くてか…それとも

「荒北先輩…好き」
「あんがとネ」
「先輩は?」

バカのアオチャンには一つひとつ噛み砕いて言わなきゃなんねーんだな
つくづく思ったわ
あー小っ恥ずかしい!言いたくねぇ!
まーケド仕方ねーな…ッたく

「ホントバァカ 」
「ごめんなさい」
「や、オレもハッキリしてなかったな」
「えっ」
「ちゃんとアオの事が好きだっつーのは伝わってる…よな?」

オレがそう言ったら顔真っ赤にして頷く
…だからそゆ顔ホント反則だっつーの

「別に…堂々と彼女ヅラしてたらァ?」
「えっ…いいんですか?」
「オレはそう思ってたケド」

アオは彼女だって

そう言い終わる前に飛びついてきやがって
別に軽いから簡単に受け止められるケド

「先輩!大好き!」
「おー…ドウモ…嬉しそうな顔してんじゃねーよバァカ」
「嬉しいもん!好き!大好き!」

そう言ってキスしてくるアオにオレは結局敵わネェのな



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「真波くん、昨日はありがとう!」
「あ、上手くいったみたいだね!」
「うん!お礼に何か奢らせて!」
「えー!悪いよー」

そう言って真波に大量に奢らされてるアオを見てオレはため息をついた

…散財したアオにジュース買ってくださいと強請られて結局奢らされるオレ自身にも




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