今日の昼休みは1人でノンビリ食おうと思ってたのに、それは叶わず
福ちゃんに誘われたら断れなかったつーか
しっかしコイツらもいるならやっぱ断れば良かったと後悔してる

今日は天気がいいから屋上の日差しは少し暑いくらいだ


「アオちゃん、今日こそ約束のアレを見せてくれるか?」
「東堂先輩!バッチリですよ!母に送ってもらいました〜」
「お!この間言ってた靖友似のネコか?」
「そうなんですよ!あ、福富先輩も見ます?」
「ああ」
「荒北先輩」

「オレは見ねーぞ」

「ですよね…また見てくださいね!」

だから見ねェってんのに聞いてなかったのか?

しかし山田チャンのスマホの画面をのぞき込むアイツら…全員ちけぇだろ
全然気にしない山田チャンもバカだろ

「これです、可愛いでしょー!」

山田チャンがそう言うと周りから大爆笑の声

「荒北そっくりではないか!目つき悪いネコだな!」
「いやー想像以上だな。ハハっそっくりだ」
「似ている」

画面に目をやってからオレを見る
オレを見てまた爆笑し始めた東堂と新開

オイ福チャン、お前鉄仮面じゃネーのかよ!口元歪んでんぞ

アイツら……!まとめてぶん殴りてェ
特に東堂と新開

ウゼェ…

「ね、可愛いでしょ!?ね、福富先輩」
「そ、そうだな」
「かわ、かわっ…可愛いなそうだな」
「ふてぶてしいネコだな!荒北そっくりだ!」

話を聞いてるとイライラすっから教室に帰るかとも思ったが、まーた山田チャンがめんどくさい事になるのが目に見えてっからオレは少し離れて貯水塔の裏に腰を下ろす

騒がしい声もここなら遠くていい
しかしすぐに足音が聞こえる

まぁ多分

「荒北先輩!」

そーだよネ

「んだよ」
「怒ってますか?」
「怒ってねェよ」
「顔が怖い」
「ッセ!元々こーゆー顔なんだよオレは」

無視を決め込もうと目を瞑る
あー…ネミィ

そしたら山田チャンが隣に座った
体温を感じる位だから近すぎんだろ
ヨコ目で見れば山田チャンもこっち見てて目が合う
なんつー顔してんだよったく

「怒ってねーよ」

そう言って頭を軽くグーで小突けば「痛っ」って言いながらも嬉しそうに笑ってる山田チャンにため息が出る

変なヤツ

「うちのネコ、見てくれますか?」
「ン」
「やった!これなんです!」

山田チャンのスマホの画面をのぞき込むと、そこにいたのは…ネコだケド

何となくオレが見ても似てるって思っちまうその風貌に複雑な心境になる


動画を見てもナンカ既視感ハンパネェ

でもよ!あのバカ達に笑われンのは癪に障ンだろ普通に

「ね、可愛いでしょ?」
「あー、ソダネ」

何とも言えないからもう聞かないで欲しいんだけどォ

「可愛いしイケメンなネコくんなんですよ!荒北先輩に似てイケメン〜」
「ハァ!?バッカじゃねーの!ンだよイケメンて」

イケメンはちげェだろ
ま、でも山田チャンに言われるのは悪い気はしねぇ

「え、自覚ないんですか!?荒北先輩本当にかっこいいのに勿体無い!」

オレがかっこいいと信じて疑わねぇのはオメーだけだよバァカ

「そら、ドーモ」

そう言って欠伸をしてもう1度目を瞑る
隣にいる山田チャンの頭に自分の頭をのせたら本格的に眠気が襲ってきた


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その数日後、山田チャンのスマホの待ち受けが目に入って絶句する

「おいコラ!」
「あ、荒北先輩お疲れ様…あ!」
「んだよ、これは!」
「あ!これですか!これは」

「ああ、靖友!あの時はお前ら2人とも気持ちよさそうに寝てたから記念に撮ってあげたんだよ。いるか?」

「イラネーし!つか勝手に撮ってんじゃねーよこんのバァカ!オメーはオメーで待受にしてんじゃねェよ!ボケナス!」

「素直になれよ、靖友。後で送っておいてやるからさ」
「ごめんなさい!だって貴重なツーショなんだもん。それにしてもこの荒北先輩本当にかわいくないですか!?」


……こいつら全然反省シテネーダロ
そもそもオレが怒ってんのに気にすらしてねェ

何を言ってもダメだと思ったオレは「もう好きにシテ」と言って部室を後にした

その後新開から送られてきた画像を削除出来るわけでもなく

思わず保存ボタンを押した自分に頭を抱えたのだった


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