先輩に初めてを捧げた次の日

朝起きたら先輩が目の前にいて
それが嬉しくて幸せで「おはようございます」と言えば先輩は優しい顔をして「ん、おはよ」って言ったんだ

擽ったいけど幸せなそんな朝で

先輩の家はトースターがないから
昨日買った食パンでタマゴのサンドイッチを作って珈琲と紅茶を入れて朝ごはんにした

そのあと先輩の溜まった洗濯物を洗濯して


先輩が傍にいる、それだけでこんなにも心が暖かくて幸せだ

ほぼ毎日、顔を合わせていたのに離れ離れになってから毎日寂しくて
まだ離れてそんなにたってないのにといつも呆れられるけどそれでもやっぱり寂しくて
明日まで一緒にいられるから、その間先輩に沢山甘えて充電するんだ

珈琲を飲みながらテレビを見てる先輩の後ろ姿が愛おしくて仕方ない

後ろから抱きつけば先輩はこっちを向かないけれど、私の頭をクシャッと撫でた

「先輩、こっち向いて」
「んだよ」

振り向いた先輩に今度はキスをして「先輩だいすき」って呟けば「ソラドウモ」って明後日の方を向いてたけど、小さくため息を吐いたと思えばギューッと私のことを抱きしめてくれたんだ

「先輩好き、大好き」
「ハイハイドウモ」
「大好きだよ」
「はー、わかったからァ」

言い方はいつもぶっきらぼうなのに、涙声の私を宥めるかのように髪を撫でる先輩の手はとても優しい

「先輩もっとちゅーして」

そう言えば先輩はなんにも言ってくれなかったけど
頬に触れる手が優しくて、その手の上に手を重ねたら降ってくるキスの嵐

何度も何度も降ってくるキスに心がギューッとして、頭はふわふわする

「先輩あの、」
「ンだよ」
「あの、昨日みたいに抱い、」
「あー、わかったから言うな。けどカラダ辛いだろ。無理すんな」
「全然辛くないです!もっとして欲しいんです」
「恥ずかしい事言ってんなよバァカ」
「先輩お願い」

抱きついてもう一度、先輩お願いって呟けば「辛いからやめろっつってもやめねーかんな」って言うから「絶対言わない!」って言ったら呆れたような顔をしつつも先輩は笑った

その時の「バァカ」はとても優しい声で

その先輩の声だけで私は何度先輩に恋をしただろう




沢山愛して貰った後は、案の定寝落ちてしまった
先に私が起きたみたいで先輩はまだ寝ている

寝顔は何だか可愛いな
前髪が流れてて見えるおデコに小さくキスをした

目を覚ました先輩がまだ眠そうな顔しながら掠れ声で「おはよ」って言った時、ああ幸せだなぁってしみじみ思ったんだ

先輩が起きてから一緒に買い物に行った
まだ食器類もまともに揃ってないから色々と買いに行くぞって誘われて
遅いお昼ごはんはファーストフードで食べたけど夜は作ろうって思った

食器を見ていた時「アオのも買っとけよ」って先輩が言う

だから「お揃いにしてもいいんですか?」って聞いたら「別に好きにすればァ」って言うから、お揃いのお茶碗とマグカップを買った

調理器具も最低限揃えて、日用品も色々買った
シャンプーやボディーソープの予備も好きなの選んでいいって言ってくれたから私が好きなのを選んだ

その後食材を買って先輩の家に帰って買ったものを片付けて

内緒で買った写真立てに、先輩とネコと私で撮った写真を飾った
もうひとつは箱学のみんなで撮った写真


色違いのお茶碗にマグカップ、おまけに歯ブラシ

写真立ては見つかった時ため息を吐かれたけど、何にも言わないでいてくれた

先輩の部屋に私のモノが加わって
男の人らしい部屋にある女の子の色がおかしくて

でも私を当たり前のように受け入れてくれて、大切にしてくれてこんなに嬉しい事はない


夕飯を作れば先輩はなんか嬉しそうな顔をしてくれて沢山食べてくれたから嬉しくて、沢山作り置きもしたから暫く困らないだろう

お風呂に入って、色々話をして
眠る時もずっとくっついて眠った

次の日の朝も普通に過ごしたけれど、帰るまでそんなに時間がなくて

お互い何も言わなくても、先輩は多分気づいてる
私が離れたくなくて、寂しくて寂しくて仕方ない事を

でもそれを今言ってしまったら…

「あー、電車何時だっけ?」
「あと2時間もないくらい、です」
「何かあっという間つーか」
「本当に早すぎるよ」

たまらなくなって抱きつけば先輩はやっぱり簡単に受け止めてくれた

「先輩、好きだよ」
「あんがとね」
「先輩また電話していい?」
「ドーゾ」
「先輩、LINEも毎日するからね」
「ヘイヘイ」

寂しさが込み上げて泣きたくなった
泣かないって決めたから頑張って堪えて、でも涙声で何度も好きを伝える

「寂しいよ先輩、離れたくないよ」
「ンな事言っても仕方ねーダロ」

でもまァ…って先輩がポケットから何かを取り出して

「ん!」
「へ?え、これ…」

手に何か握らされて、見ればそれは鍵だった

手が震える

「いつでも好きな時に来ればァ」

その意味を、今の状況を、理解した私は堪えきれなくて泣いてしまった

「アオ泣くなっつーの」
「無理〜!先輩、いいの?」
「おー」
「先輩いなくても入っていいの?」
「ご自由に」
「他人に勝手に入られて嫌じゃない?迷惑じゃない?」

何度も聞く私に先輩は今日イチ優しい顔で私を見る

「バァカ。嫌なら渡さねーダロ。フツーに。」

気にしすぎィって私の頬をつまんで笑う先輩を見て、また嬉しくて泣いた

「時間までずっとくっついてていいですか?」
「相変わらず甘えん坊だねェアオは」

結局先輩は私に甘いから
沢山ギューッとしてくれて、キスも強請ればしてくれた

先輩は口調も見た目も怖いとか、乱暴そうとか優しくなさそうなんて言われるけれどそんな事あるもんか

先輩は凄くに優しいくて素敵な人
先輩は優しいけれどこの甘くて優しい部分はきっと私しか知らない
私だけ知ってればいいもん

駅の改札前、ここでバイバイだ

電車が来るまであと5分

「気をつけて帰れよ」
「はい、帰ったら連絡しますね」
「おー」

靖友先輩

そう言って先輩の腕を引いてキスをして
そのまま逃げるように改札を通る

「先輩またね!」

呆れたような怒ってるような顔をしながらも、先輩は小さく手を上げてくれた


電車に乗ってポーチの中から先輩に貰った鍵を出して眺める

いつでも来ていいと言ってくれた先輩
私を安心させる為にくれた訳じゃないって先輩は言うけど…
それでもなんでも、私を先輩の家と言うテリトリーに自由に出入りすることを許された事が嬉しい
大切にしてくれて信頼もしてくれてるって事が嬉しくて仕方ない

帰ったら靖友先輩とネコに似たキャラのキーホルダーを付けようと貰った鍵を握りしめながら考えていた





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