万物流転 | ナノ
6.そうなん3
夕食も終わり、夫人がロンにトランクへ荷物を詰め込むように呼びかけたあと、明日持って行くものを確認するために一人、また一人と階段を上がってそれぞれの部屋に戻っていった。荷物の確認をするまでもない私とハーマイオニーは食堂に残って、彼女がマシンガンのように喋るのを私はひたすら聞き手にまわり聞いていた。

「そう言えば、ハリーから聞いたんですけど…」
「どうしたの?」
「…えと、その…やっぱりいいです!」
「…なにか悪いことでも起ったの?」

「悪いことじゃ!…ない、です。でも…私が聞いても良いかどうか…」
「…なぁに? 私に答えられることがあれば、いいのだけど」

ハーマイオニーは神妙な面持ちでテーブルを見詰め、何か言いにくいことをこれから言うぞ!言うぞ!と深呼吸をした。

私と言えば、彼女はハリーから何を聞いたのだろう?とゆったり構えていて「先輩は今、お付き合いされている方がいらっしゃるんですか!」と赤い顔をしながら言い切った彼女にポカーンとしてしまった。…え、これって私、告白されてる?同性に?

「…は、ハーマイオニー? もしかして、貴女ソッチの…」

「い、いえいえ!そう言うのじゃないです!
 誤解しないでください先輩!違うんです!」

あわあわと身体の前で手を振りながら、カァッと赤みが増した顔をブンブン振りながら必死に否定をした。ちょっと、からかっただけなのに…初々しい反応がとっても可愛らしくてよ、ハー子ちゃん。

「あの…ちょっと前にハリーが、先輩とハッフルパフのシーカーの…」
「セドリック・ディゴリー?」

「そうです。そのディゴリーという男の人と『ここ』で待ち合せをして、仲が良さそうに二人で出て行ったって聞いて…私、もしかしたら二人は付き合ってるんじゃないのかって…」

「それじゃあ、ハリーはあの場に居合わせたのね…」

私がにっこりと呟けば、ハーマイオニーが「ハリーは、もうここに十二日間泊まっているそうです」と言った。そうか。それなら、ちょうど辻褄も合うし、彼が私達を見たのも頷けるか。

「期待に添えないのは残念だけど…彼と私はそういう関係ではないのよ。たしかに、甘いもので繋がってると言えば繋がってるんだろうけど…」

私の意味深な言葉に、彼女は首を傾げた。「さぁさ!明日は早いよ」と、私は席を立ちハーマイオニーもそうするのを待った。二人で階段を登っていく時、ウィーズリー夫妻がなにやら刺々しい雰囲気でバーの方へ歩いて来るのがみえたので、私達は小走りで階段を駆け上がったのだった。

20130815
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