万物流転 | ナノ
23.よきせぬ3
ハーイ、僕はロナルド・ウィーズリー。皆からはロンって呼ばれてる。今はちょっと、杖が逆噴射しちゃってナメクジを口から吐いてるけど…それ以外はなんら変哲もない極々一般的な七人兄妹の六男だよ。

今日はハリーがウッドに朝早いうちからクィディッチの練習に連れ去られて行ったんだ。そのことをちょっとだけ話すね。ほんの、ちょっとだけ!


***


支度をして談話室に行くと、そこに友達のハーマイオニーがいたから彼女を誘ってハリーの練習風景を見に行くことにしたんだ。スタンドに行くと、赤いユニフォームを着た一団が更衣室から出てきてその中にハリーを見つけた。ハーマイオニーが大広間から持ってきてくれたマーマレード・トーストを頬張りながらまだ終わってないの?って聞いたら、彼、なんて言ったと思う?

「まだ始まってもいないんだよ。
 ウッドから新しい動きを教えてもらっていたんだ」

『クィディッチ馬鹿』の異名は捨てたものじゃないよね。箒に股がり、フレッドとジョージと競ってびゅんびゅん飛ぶ姿は見ていてとても清々しかった。僕もいつか、一緒に飛べたらいいなぁ…。しばらくその様子を眺めていると、競技場の入り口からグリーンのローブを着込み箒を片手に他の奴らが入ってくるのが見えた。

「なんだか不穏ね…私達も行きましょ!」
「ッ…う、うん!」

ハーマイオニーは素早く立ち上がり駆けて行ったので、食べかけのマーマレード・トーストを口の中へ放り込んで僕達もそっちへ向かった。グラウンドでは、怒りを露にしたウッドが、スリザリンチームのキャプテンのフリントに向かって何やら叫んでいた。

僕達に気付いたフリントがふざけた様子で「おい、見ろよ」とずんぐりむっくり(のように僕には見える)仲間達に言った。どうしてハリー達は練習しないんだ?それに、どうしてあの憎きマルフォイの野郎がスリザリンチームのユニフォームなんか着て彼らの真ん中に立ってるんだよ!

それから、マルフォイの口から信じられない言葉が出てきた。え!マルフォイがスリザリンの新しいシーカーだって!?そして、にやりと嫌らしい笑い方で七本の黒い箒を僕の方へ突き出した。それに、この箒って…「ニンバス2001さ。いいだろう?」こともなげに言うマルフォイに、終始僕は口が開きっぱなしだった。

20130812
title by MH+

*ロン視点、しばらく続きます
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