万物流転 | ナノ
17.こうそく4
横丁で一番人気のアイスクリーム専門店は今日も賑わいでいる。その店の前を通る時、意外にも甘党のディゴリーが私を誘って彼オススメの苺とベリーのアイスをおごってくれた。甘過ぎず程良い苺とベリーの酸味がくせになる味だった。

ディゴリーはそれとレアチーズの混ざっているアイスをダブルを食べており、上機嫌のディゴリーは「レイリがいてくれて助かったよ!」と私にレアチーズの方を一口分けてくれた。

間接云々は気にしないのか?こういう年齢の男子達はそういうのにうるさいと思っていた分、彼の行動には驚かされる。「食べないの?」なんて不思議そうに顔を傾けて、スプーンを差し出したままこちらを見詰めてくるあたり、彼はそういうことを気にしないタイプらしいけど。

ディゴリーは私を連れ出した理由を説明した。どうやら、彼は今日教科書を買いに父親と来たらしく、そこでパーシー先輩と歩く私を見かけたんだとか。買い物を済ませて、発作的に甘いものが食べたくなりこのアイスクリームパーラーへと来たものの…男ひとりでは魔女達でごった返すこのお店に入るのはなかなか勇気のいる行動だったために、わざわざ私を探したそうだ。たかがアイスを食べるためにご苦労なことだ。


***


ハンサム男ディゴリーと別れ、私は待ち合せ場所の『フローリシュ・アンド・ブロッツ書店』へ向かっていた。私は元々人ごみが苦手で、さらに人口密度の高まった書店の中になんて絶対入ってやるものか!と思っていたが、そこでばったりと二年生三人組に出会い「本物の彼に会えるわ!」と黄色い声を上げるハーマイオニーに連れられて、結局入店してしまう。

ぐいぐいと人垣を押し分けて入って行く三人に引き摺られるように書店の中程まで来てしまった。近くには髪を撫で付けながらそわそわと、自分の番を待つウィーズリー夫人がいた。「もうすぐ彼に会えるわ…」と言った彼女は、ハーマイオニーと同じような少女の顔をしていた。

「もしや、君はハリー・ポッターでは?」

可哀想に…見つけられてしまったハリーには合掌をして、私はそそくさとその場を離れようとしたが、その場を動かないハーマイオニーに手を掴まれっぱなしになっていたことを思い出して、動くに動けなかった。そうしているうちに、ハリーはついにロックハートの手によって人々の前に引っ張り出されてぎこちない顔を晒していた。

20130812
title by MH+

*あと一話で終えたい
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