万物流転 | ナノ
12.ほんとは2
私は自分の教科書リストに目を通しながら、折角の気持ちのよい朝を害されてげんなりしていた。ついさっきまで忘れていたが、私達が四年生になるということは、必然的にハリー達主人公組みが二年生に進級するということを意味しており、さらに彼らが二年生ということは『秘密の部屋』の章だね。つまりは、そういうことである。

ジニーの魔力を利用したトム・リドルの日記がバジリスクとかいう大蛇を操って校内を徘徊し、ハリーがスリザリンの継承者問題で仲違いしたりしなかったりするストーリーだったと思うのだけど…。

ただでさえ面倒臭いのに、ギルデロイ・ロックハートとかいう訳の分らない口八丁手八丁の下種魔法使いがスネイプ先生と決闘したりとかハリーに取り憑いたりするんだよね。うん、正直面倒以外の何者でもないよね。

「君のもロックハートの本のオンパレードだな!
 きっと『闇の魔術に対する防衛術』の新しい先生は彼のファンだぜ」

ハリーの手紙を覗き込んだフレッドはそう言って、夫人に睨まれていた。そんな片割れにジョージが言う。「この一式は安くはないぞ…」両親の方をちらりと彼が見て「ロックハートの本はなにしろ…」と溜息を零したので「高すぎでしょ」と私が彼の台詞を代弁した。

「まぁ、なんとかなるわ。
 たぶん、ジニーのものはお古ですませられると思うし…」

「あぁ、君も今年ホグワーツなの?」

夫人の言葉に、ハリーはジニーへと問う。こくりこくりと必死に頷きながら、顔を真っ赤にしバターのお皿に肩肘をつっこんだ。私は、静かに彼女へ自分のナプキンを差し出した。するとそこへ、パーシー先輩がやってきてさわやかに挨拶をした。

けれども、ロンの梟であるエロールが彼の腰掛けようとした椅子にいて、座るか座らないかのうちに先輩は飛び上がった。彼を指差して笑う双子にパーシー先輩は鋭い視線を送っていたが、ジニーと一緒に私も笑った。

「モリーさん、アーサーさん。
 もしよければジニーちゃんの教科書のことでご相談が…」

20130811
20160218 修正
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