万物流転 | ナノ
11.ほんとは
隠れ穴に来てから早くも一週間が経った。早起きの私をいつも夫人は褒めて下さる。風邪も治った私は、夫人の家事のお手伝いをばりばりやらせてもらっている。この家の勝手を全部は把握出来てないが、これと言って支障はない。

いつもの癖で朝一には軽いランニングと鈍らない程度の修業を行う。まぁ、修業と言ってもチャクラコントロールくらいなのだが…本当は、手裏剣やクナイ投げの訓練もしたいのだけど、生憎人に見つからなさそうかつ安全そうな場所がここにはない。

「あら、あなた!おはようございます」
「やぁ、おはよう!」
「おはようございます。アーサーさん」

食卓に食器やマグなどを並べていると家主のウィーズリー氏が部屋着のまま起きてきた。コーヒーの入った彼のマグを手渡せば「ありがとう、レイリ。将来はきっと、良いお嫁さんになる」と自身に満ち満ちた目をきらきら輝かせながら言われた。

嬉しいやら照れくさいやらで頬を染めたところで、ジニーが私服で降りてきた。挨拶をすれば、笑顔で返されるのでとても気持ちがいい。ロンとハリーもここへ来た。ジニーが手に持っていたマグを落としかけている。

「おや?学校からの手紙だ」とウィーズリー氏は言い、子供達に手紙を手渡した。そして丁度その時、パジャマ姿の双子が目の覚めきっていない足取りで台所に入ってきた。夫人はそんな息子達に「先に顔洗ってらっしゃい!」と言って、洗面台の方へと押しやる。「ふえーい」と気の抜けるような返事をしたのは、フレッドだったか?ジョージだったか?

「ダンブルドアは君らがここにいることをもうご存知だ。
 …ほら、おまえたち二人にも届いているぞ」

「「サンキュー、親父」」

双子に手紙を渡してウィーズリー氏はコーヒーを一口飲んだ。その後しばらくは、子供達みんな手紙を読むのに集中しており、台所には日刊予言者新聞の紙がこすれる音が響いていた。

20130811
20160218 修正
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