4.とくべつ3
木曜日のマクゴナガル先生の変身術の授業後、トンデモないことの告知があった。僕とロンは(ハーマイオニーは、最前列に座りネビルのお守り)フレッドとジョージの『だまし杖』でちゃんばらをしていた。
「ポッターもウィーズリーも、年相応な振舞いをしていただきたいものです」というマクゴナガル先生からのお小言をもらい、僕と彼はだまし杖をポケットにしまって、着席した。その一部始終を、先生は恐い目をして睨みながら見ていた。
「皆さんにお話があります」
両手を擦り寄せ、ローブを整えたマクゴナガル先生がぴしゃりと言った。話とはなんだろう?とざわざわする生徒たちを見つめて「お静かに!」と言い放つ声に、僕らは一瞬で口を閉じた。
このクラスでは、二年生の時に先生の『静かになさい!』という指示を無視してわいわいがやがや騒いでいた生徒達全員に連帯責任として、その日のそのあとの授業時間は、先生からのお説教を受ける時間に変わり、課題を大量に出されたのであった。
あの教訓と言う名のトラウマは、今でも引き摺っている生徒が多く、マクゴナガル先生がお声を発しなさる時には私語厳禁という鉄則が、今ではこうして身に染み付いたのである。
「さて、クリスマス・ダンスパーティーが近付きました――三大魔法学校対抗試合の伝統でもあり、外国からのお客様と知り合う機会でもあります」
ラベンダー・ブラウンや、パーバティ・パチルが、くすくすと甲高く押し殺したような声で笑い、二人とも僕らの方を振り返った。マクゴナガル先生が彼女たちを注意しないことを、僕は絶対不公平だと思った。
「ダンスパーティーは、四年生以上が参加を許され、パートナーとしては、下級生を招待することも可能です。ダンスパーティーは、大広間で、クリスマスの夜八時から始まり、夜中の十二時に終わります。ところで――」
マクゴナガル先生の話は、右から左へと、耳を抜けて行った。(僕は、一体誰とパーティーに行くんだろう。ロンは?ハーマイオニーは?セドリックは、きっと…レイリと行くことになるだろうし、ジョージは気の毒だな)
そんな風に、ボーッと考えていると授業終了のベルが鳴り、みんなが鞄に教材を詰め込んだり、肩にかけて立ち上がったりと、いつものがやがやが始まった。
その日の夜の談話室は、クリスマス・パーティーの話題で溢れかえっていた。
「ねぇねぇ、ダンスパーティーの話は聞いた?」
「聞いた!聞いた! どうしよう!新しいドレス送ってもらわなくちゃ!」
四年生以上の女子生徒は、当日にどんなドレスでどんな化粧をするのか、相手は誰かなどの話でウキウキと盛り上がっていた。
「セドリック、誰を誘うんだろう?」
「きっと、助手のウチハでしょ?分かりきってるわよ」
一方の男子は、誰々はあの子を誘うんだとか、もう予約してきただとか、どんな女の子と行くかについての話で賑わっている。
「ボクは、アリシアを誘う!」
「おう、いけいけ!当って砕けちまえ、ラッド!」
「コンラッドのやつ、スピネットを誘う気だぜ、ひゅーひゅー」
ジニーは、三年生なので「あたしも行きたいなぁ」と、ぺちゃくちゃと楽しそうにお喋りをする先輩達を眺めながら、暖炉の傍のソファーにもたれていた。「それなら、僕と行くか?」とロンが言えば「ロンだけは絶対いや!」と断固拒否されていた。
彼はきっと、軽い気持ちで言っただけなのに、全力で愛すべき妹から拒絶の反応を受けたロンは、クッションに顔を埋めてひっそり泣いていたのであった。
僕は、ロンの悲しい背中を極力優しく撫でながら、お兄ちゃんは大変だなぁと思った。それから、ロンがあんまりにも項垂れるので、図書館に行ってしまったハーマイオニーに早く帰ってきてほしいとも思った。
20130914
title by MH+
*久々のコンラッド・アダムスくんの登場!笑
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木曜日のマクゴナガル先生の変身術の授業後、トンデモないことの告知があった。僕とロンは(ハーマイオニーは、最前列に座りネビルのお守り)フレッドとジョージの『だまし杖』でちゃんばらをしていた。
「ポッターもウィーズリーも、年相応な振舞いをしていただきたいものです」というマクゴナガル先生からのお小言をもらい、僕と彼はだまし杖をポケットにしまって、着席した。その一部始終を、先生は恐い目をして睨みながら見ていた。
「皆さんにお話があります」
両手を擦り寄せ、ローブを整えたマクゴナガル先生がぴしゃりと言った。話とはなんだろう?とざわざわする生徒たちを見つめて「お静かに!」と言い放つ声に、僕らは一瞬で口を閉じた。
このクラスでは、二年生の時に先生の『静かになさい!』という指示を無視してわいわいがやがや騒いでいた生徒達全員に連帯責任として、その日のそのあとの授業時間は、先生からのお説教を受ける時間に変わり、課題を大量に出されたのであった。
あの教訓と言う名のトラウマは、今でも引き摺っている生徒が多く、マクゴナガル先生がお声を発しなさる時には私語厳禁という鉄則が、今ではこうして身に染み付いたのである。
「さて、クリスマス・ダンスパーティーが近付きました――三大魔法学校対抗試合の伝統でもあり、外国からのお客様と知り合う機会でもあります」
ラベンダー・ブラウンや、パーバティ・パチルが、くすくすと甲高く押し殺したような声で笑い、二人とも僕らの方を振り返った。マクゴナガル先生が彼女たちを注意しないことを、僕は絶対不公平だと思った。
「ダンスパーティーは、四年生以上が参加を許され、パートナーとしては、下級生を招待することも可能です。ダンスパーティーは、大広間で、クリスマスの夜八時から始まり、夜中の十二時に終わります。ところで――」
マクゴナガル先生の話は、右から左へと、耳を抜けて行った。(僕は、一体誰とパーティーに行くんだろう。ロンは?ハーマイオニーは?セドリックは、きっと…レイリと行くことになるだろうし、ジョージは気の毒だな)
そんな風に、ボーッと考えていると授業終了のベルが鳴り、みんなが鞄に教材を詰め込んだり、肩にかけて立ち上がったりと、いつものがやがやが始まった。
その日の夜の談話室は、クリスマス・パーティーの話題で溢れかえっていた。
「ねぇねぇ、ダンスパーティーの話は聞いた?」
「聞いた!聞いた! どうしよう!新しいドレス送ってもらわなくちゃ!」
四年生以上の女子生徒は、当日にどんなドレスでどんな化粧をするのか、相手は誰かなどの話でウキウキと盛り上がっていた。
「セドリック、誰を誘うんだろう?」
「きっと、助手のウチハでしょ?分かりきってるわよ」
一方の男子は、誰々はあの子を誘うんだとか、もう予約してきただとか、どんな女の子と行くかについての話で賑わっている。
「ボクは、アリシアを誘う!」
「おう、いけいけ!当って砕けちまえ、ラッド!」
「コンラッドのやつ、スピネットを誘う気だぜ、ひゅーひゅー」
ジニーは、三年生なので「あたしも行きたいなぁ」と、ぺちゃくちゃと楽しそうにお喋りをする先輩達を眺めながら、暖炉の傍のソファーにもたれていた。「それなら、僕と行くか?」とロンが言えば「ロンだけは絶対いや!」と断固拒否されていた。
彼はきっと、軽い気持ちで言っただけなのに、全力で愛すべき妹から拒絶の反応を受けたロンは、クッションに顔を埋めてひっそり泣いていたのであった。
僕は、ロンの悲しい背中を極力優しく撫でながら、お兄ちゃんは大変だなぁと思った。それから、ロンがあんまりにも項垂れるので、図書館に行ってしまったハーマイオニーに早く帰ってきてほしいとも思った。
20130914
title by MH+
*久々のコンラッド・アダムスくんの登場!笑
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