万物流転 | ナノ
39.さいてい6
そして結局、カルカロフの「わたしの他の生徒にもう一度名前を入れさせるように」という主張も、マダム・マクシームの「グワーツがふたりも代表選手を出すことはできませーん」という意見も撥ね除けられ、ハリーは炎のゴブレットとの魔法契約によって、正式に四人目の選手になった。

今やマダムは、ダンブルドアを睨むばかりであったし、スネイプ教授は憤怒の形相。さらに、カルカロフは青筋を立てていた。校長に促され、暖炉の灯りの中へ進み出たクラウチ氏は、病気では?と思われても仕方がないくらいにやつれており、乾いた唇で最初の課題についてを話した。

「未知のものに遭遇した時の勇気は、魔法使いにとって非常に重要な資質である…非常に重要だ。 最初の競技は、十一月二十四日、全生徒並びに審査員の前で行われる。選手は、競技の課題を完遂するにあたり、どのような形であれ、自分の助手以外からの援助を頼むことも、受けることも許されない」

暗澹とした目を、じっと選ばれた私達に向けながら話すクラウチ氏の声に、部屋にいる者は皆集中しており、誰も音は立てず身動きすらできなかった。ただ一つだけ、アラスターの魔法の目だけが、機敏にぐるんぐるんと動いていたが。

「選手は杖だけを武器として、最初の課題に立ち向かう。また、この課題では君達の団結と決断力を試すものでもある。この力がなければ、第二の課題へは進めないだろう」

私はセドリックを見つめた。彼も私のことを見つめている。灰色の目は真剣味を帯びており、迷いは一切ない。そんな彼に私は口の端を上げると、つられるようにセドリックも微笑を零した。

「第一の課題が終了ののち、第二の課題についての情報が与えられる。第一の課題にて選手又は助手のどちらか一方でも再起不能となった場合は、課題続行不可能と見なし、その時点で棄権とする。試合は過酷で、また時間のかかるものであるため、選手たちは期末テストを免除される」

最後にじろっと選手の顔を見回したクラウチ氏は「これで全部だと思うが」と校長に告げて、一歩奥へ退いた。非常に疲れた顔をしており「私は役所へ戻らなければならない」と言う。アルバスは残念そうな顔付きで「それでは、解散とするかの」と生徒達に告げてこの部屋から出るように命じた。

マダムに肩を抱かれたフラーが妹の手を引いて部屋を出た。開かれた扉からは早口のフランス語が響き渡り、マダム・マクシームとフラーが怒っているのがよく分かった。カルカロフはクラムとその助手に合図をし、こちらは黙りこくって足早に出て行く。

「四人とも真っ直ぐ寮へ戻るがよい」ダンブルドアが微笑みながら言ったので、私達はそれに従わざるを得なかった。ハリーがセドリックをちらっと見て、彼が頷いたので二人は一緒に部屋を出た。ボーッと固まるロンくんの手を引きながら私達も出ると、外ではガブリエルが腕組みをして立っていた。

20130903
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