万物流転 | ナノ
27.いたずら
九月が終わると、十月がまるで矢のように過ぎて行った。魔法史では、中・近代の魔法界のことを学び、羊皮紙二巻き分のレポートの提出を命じられたし、変身術では、動いている対象物をいかにして素早く別の物に変身できるか技術的向上を求められた。

薬草学では、水中魔法植物とその収穫方法についての座学と実践をした。こんな寒い時期に湖へ入ることになるなんて!そうは思いながらも、授業なので腹をくくって、皆と歯をガチガチ震わせながらレタスとよく似た沈水性植物の収穫を行った。

魔法薬学では、生ける屍の水を調合した。催眠豆から汁を採取する時に、グリフィンドールの生徒もスリザリンの生徒もあっちこっちに萎びた豆を飛ばすので、授業中は飛び交う豆が大鍋に誤って入らないように配慮するのが大変だった。

ちなみに、セブルス・スネイプ教授を満足させられる水のように澄み切った眠り薬を完成できたのは、クラスでも私とスリザリンの監督生であるケネットの二人だけであった。他は皆、再提出させられていた。

魔法生物飼育学では、ハグリットが知り合いから借りたのだと言う、本物そっくりのドラゴンの生きた模型を使って、ドラゴンの生態と種類についてや、彼らの弱点。そして、本校の学校長が発見した十二種類の血液の利用法を学習した。

模型であるので、炎を吐くことはしなかったが、大きな翼を広げ授業中何度も逃げ出そうとしたので、捕まえるのが大変だった。なにしろ、ドラゴンの生きた模型なので、鋭い爪や尖った牙、硬い鱗などを厳密に再現してあり、力の強さや獰猛さなども緻密に設計してあったからだ。

それに、注意をしていないと、模型の尾が私達のところにまで飛んで来ることがあり、尾の先の棘に刺されるようなことがあればひとたまりもない。まぁ、ハグリット先生は非常に楽しそうに授業を行っていたことをここに明記しておこう。

ボーバトンとダームストラングの代表団は、十月三十日金曜日の午後六時に本校へと到着する手はずになっている。玄関ホールの掲示板にその知らせが発表されると、生徒達は皆浮き足立った。

立候補を決意したアンジーは、目に見えてわくわくしているし、セドリックも監督生の仕事の傍ら試合へ出場する気持ちを温めているようだ。フレッドとジョージは、大広間での食事の時ですら、珍しく他の生徒から離れて座り、小声で何かを話している姿をよく目撃した。

そして彼らの到着を明日に控えた二十九日木曜日の夕食後、七年生と六年生の監督生がひとつの教室へ召集されて、明日の仕事の割り振りがなされた。

七年生は、主にホグワーツでの学校生活について不自由がないように二校の生徒へ説明するという仕事があり、私達六年生には、当日の大広間への案内と、席への誘導の仕事が任せられた。

寮の気質に合うよう、ボーバトンの案内役にはグリフィンドールとハッフルパフが。そして、ダームストラングの案内役にはレイブンクローとスリザリンが受け持つことになっているとマクゴナガル先生がきびきびと説明した。

各寮二人ずついる監督生のうち誰が担当するかを鷲寮の寮監であるフィリウス・フリットウィック先生がくじ引きを用意していたので、八人の監督生は箱からそれぞれ選んだ棒を引き抜いた。

公正なるくじ引きの結果、ボーバトンの案内役には私とディゴリーがなり、ダームストラングには鷲寮の男の子と例のケネットがその役を引き受けることに決定し「よろしくね、レイリ」と笑うセドリックに「こちらこそ」と言って微笑みを返したのだった。

20130901
title by MH+

*リアルな日付:今日はホグワツ入学式ですね笑い
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