02話 ・・・



「確か哀原君ですよ、哀原賢人君」
「ふうん、そういや理事長が同室の特待生に迎えに行かせたんだったねえ」
「はい、生徒会で行こうと思っていたのですが…まあ同室なら色々とこれからあるでしょうし納得ですね」
「同室誰?」
「ああ…えーと、誰でしたっけ」
この生徒会は4月、この入学式から本格的に指導する。そこが他の学校とは違うところだ。本来、二学期中に引き継ぐところだが、副会長以下の役職のみ3月に選挙がおこなわれることとなった。
その選挙では中等部からも成績・容姿ともに優秀な親衛隊(ファンクラブの様なもの)もちの生徒たちも立候補することとなり、ここにいる四郷もその中の一人で見事当選した。

「確か、そいつも編入生で、特待生だったとおもうよお」
「特待生…?あ、思い出しました。…ちょっと強烈でしたね」
副会長は眉間にしわを寄せた。
「え、誰ですか?」
「…し…い」
「はい?」
「も…いい」
「あ、そうですか」
五色塚は相変わらず声が小さい。

「あれですよ、遥唯人。不審者の様な格好の生徒です」
「ちょっ副会長ひどっ、ひどすぎでしょそれ!不審者って!」
「いえ…サングラスにマスクですよ?不審者じゃないですか」
何かしらの病気を抱えていることも考えたがあるとすれば頭の病気しかないだろう。

何せ初対面の副会長に「七三って絶滅危惧種じゃね?超レアじゃね?やばくね?ぎゃははは写メ!ぴろり〜ん、はい綺麗に取れましたーあははっはは」などとノンブレスで言った後、スキップしながら去っていったのだ。
そのことを生徒会メンバーに話せば皆顔をひきつらせた。

「うわ…何それ、哀原君が心配になってきた…」
「…そうですね…そもそも、その遥唯人、特待生ってどのあたりが優れているのか…」
「成績は?」
「さあ…推薦で入ったようなので」
この学園に推薦で入れるだけでも凄いことなのだが。それ以上にあの不審者ルックでよく受かったな、と思う。

「理事長本当にやりたい放題ですね…」
「ま、でも事務局作ってくれたから結構仕事へってよかったじゃないすか〜」
去年就任したばかりの新理事長は、生徒に学園の経理をまかせるのはあまりにも、と思い、基本的な学園の事務仕事は事務局がすることになった。
なので今期から、前期の半分程度の仕事のみとなる。これはかなり助かった。

「それに新入生歓迎会も理事長自ら考えてくれましたし、しかも入学式と同時進行…」
卯月が茶を飲みつつ言った。そう、今年の新入生歓迎会は、理事長が入学式と同時に始めると高らかに宣言したのだ。
役員達も全く話を聞いていない。
「そういえば今日話を聞くんでしたね」
「もう明日だもんねえ、入学式」
三藤と八宮の言ったとおり明日から新入生が入学してくる。言ってもほとんどが中等部からの持ち上がりではあるが。

「会長、そろそろ誰か言ってくれてもいいのに…理事長もまた――」
「私がどうかしました?」
「!?」
気配もなく生徒会室に入ってきたのは理事長で、役員達は驚きつつも頭を下げる。
「丁度よかったわ、今からその話をするつもりでしたの」
「ええ、あの――生徒会長は一体」
「うふふ、今回の新入生歓迎会はまさにそれよ」
「…はい?」

「会長探し――生徒会長が誰なのか、つきとめた人物には豪華賞品!素敵でしょう?」


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