07話 愛とは何ぞや



「…げっは」
頭痛い。

入学から一週間。最近は哀原と外ではあまり接触しないようにしているとはいえ、いじめはなくならない。なんて面倒なと思いながら、それを回避しつつ、会長に関するうわさを拾っていた。

この一週間で数人が会長を見つけたと申告しに行ったらしいが全員ハズレだったらしい。

「遥?」
「…」
ドアの外から哀原の声がしたが体に力が入らず、喉が渇いて返事をするのも面倒で仕方がない。
頭がぼうっとする。体が熱い…。「もう出る時間だぞ?」
哀原が俺と距離を置くようになっても制裁がなくなっていない事を、お前は知らないんだろ、いや、俺が知られないようにしてやってる。下手に動かれるのも面倒臭い。

「遥?…入っていい?」
ああもう。
頭がいたい。
体が熱い。
喉がいがいがする。
寒気もある。
目元が熱い。

「…」
布団をかぶったままでいると、哀原が扉を開けたようだ。
「遥?具合悪いのか?」
「…んー…」
「くすりとかいる?遥ー?」
「…哀原きゅん、俺のことはいいから行きな」
「声が掠れてる…風邪?」

聞けよ、と思いながら布団をしっかり握りなおす。
「マスクしてるし風邪菌拾わなさそうなのに…、…まさか親衛隊にまた何か…」
当たり、と言ってやりたいがしんどくてやめた。昨日はトイレでホースから水かけられたからな。

「…ごめん」
謝るなよ、どうでもいいんだ謝罪なんて。お前が顔のせいで人間関係悩んでることくらい俺にもわかる。
「……あいはらきゅん、…みず」
喉が痛いし渇いてる。哀原は慌ててミネラルウォーターをもってきた。受け取って、飲もうとして自分の今の格好を思い出す。布団からだしているのは腕だけだ。

「遥?飲まないのか?」
「…んぁー…」
「もしかして俺に顔見られたくない…?」
そういうわけじゃない。ただ会って一週間の人間を、俺はどうしても信用できない。

「あんがとぉ〜後は自分でやるよぉーん」
「…いいや今日は休む」
「え〜?」
「遥、とりあえず熱計って。体温計もってくるから」
「いやあん、ないよ熱なんか」
「なら計ってもいいだろ」

言いくるめられるのは腹がたったが、自分を心配する相手にそんなことも言えなかった。もし建前でも、表面上だけの行為だとしても。
哀原がそんな人間だとは、到底思えなかったが、そうやって人を信じて痛い目にあったのは新しい記憶だ。

「はい、体温計。腋に挟んで」
「腋〜おっけーじゃあとりま部屋から…」
「いいから計れ」
手渡されて熱を計る。以外と温度がぐんぐん上がって、最終的に38度5分で止まった。

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