俺様にひれ伏せ@



(蜂須視点)

入学式から一カ月、5月に入りゴールデンウィークがやってきた――が。親は帰ってくるなって言うわ友達いねえわで、俺は学校の寮でだらだら過ごし、気がつけば最終日を迎えていた。

リア充滅べ。
雄利ちゃんは生徒会の仕事だし、大河は帰省。他の奴らも俺に構っちゃおれんみたいな態度しやがって…。
そんなわけで俺は一人、自室で青汁をすすっていた。畜生、健康になってやる。

しっかし、あんまりにも雄利が構ってーって言いにこねえから、驚いた。この辺で様子見の電話しとくか。
「もしもしー雄利ちゃーん」
「…総司、さん」
最近ようやく雄利は俺のことを名前で呼ぶようになった。進歩したもんだなァ。

「よお、なーに俺ほったらかしてんのー。浮気しちゃぞー」
付き合ってすらねえけど。
「……総司さん、部屋から出ないでください」
「あん?なんで?」
「明日から授業ですが、サボってください」
「お前、とっても良い子の俺に何言ってんだよ」
「つっこむ時間がないんで、簡潔に言いますが総長が嫌いなタイプが編入してきたんです」

俺の嫌いなタイプが編入してきたからなんだよ。俺が授業に行かない理由にはならねえな。とは思ったものの、可愛い雄利ちゃんのお願いだから訊いてやることにした。
「わーったよ、その変わり今日の夜ちゃんと部屋来いよ」
「…は、はいっ」
上ずった声で返事をした雄利に顔がにやける。かわいいやつめ。

「…そろそろ初夜って頃合いだと思うんだがなぁ」
付き合っているわけじゃねえけど、同じようなもんだし。今まで我慢してた俺がすごい。雄利ちゃんが可愛くて辛抱できねえ。
「(とはいえ…)」
初夜、と言う言い方は大丈夫なのか?俺、一応雄利ちゃんにバックを奪われちゃったわけなんだが。

「……おっふ」
そう、そうそうでした。俺、一回雄利ちゃんにされちゃってるんだよなー。水に流し過ぎて忘れてた。
「総長―!ただいま帰りました!」
「ん?大河、総長呼びは禁止だっつってんだろー?」
「ソウさん!」
「よくできました」

ふにふにと頬をつつくと、うれしそうにふにゃっと笑う大河は、真面目に犬だ。
「お前そろそろ俺離れしろよ。先輩のくせに懐きすぎだろ」
「歳は関係ないです!あ、晩飯作りましょうか?それとも食堂行きます?」
「ん、食堂行くか。夜に雄利ちゃんくるしお前も片付け面倒だろ」
「九十九さん来るんスね。お、俺ダチんとこ行ってましょうか?」
「…変な気は遣わんでいい」

大河と食堂に向かって歩き出す。
「あ、そういやぁ…雄利が俺に部屋から出んなッつってたの忘れてたわ」
「?なんすかそれ」
「さぁなあ。明日から授業サボれとか言われたんだが」
「えー、俺もサボっていいすか?」
「ダメだ行け。…部屋帰るか」
「明日からでいいんじゃないすか?九十九さんも理由すら言わないって珍しいっすね」
「いや、なんか俺の嫌いなタイプが編入してきたんだとよ」
「…?」

大河は訳がわからない、というふうに首をかしげた。おーおー可愛いねぇ。
「今日はいいでしょ。日和も食堂で待ってるらしいですし」
「んーしゃーねえなぁ。さっさと食ってくか。そういや大河にお帰りのちゅーまだだったな。どこにしてほしい?」
「……ほ、頬でお願いします!」
「お前な〜そこは口だろ」

ちゅ、と大河の頬にキスしてやってると、周りが五月蠅くなった。廊下には夕飯時なせいか結構な人数がいた。
俺は転入当時あんなキャラだったわけだが(もはや黒歴史)、髪もなおして今はクールなイケメンだからな。結構校内では騒がれているわけだ。

大河といちゃつきながら食堂に到着すると、何やら騒がしかった。
「なんだ、雄利ちゃん達きてんのか〜?」
「さぁ…九十九さんにしても騒がしいと…」

食堂に入って人込みの中を進んでいくと――余談だが俺が通ると人混みが割れた――雄利ちゃん達と、見たことないやつがいた。

「…もずくだ。もずくがいるぜぇ、大河ァ」
「……もずく?ていうか、ソウさん早く俺も通してくださいよ」
俺の後ろにいるせいか前が良く見えないらしい大河は、俺の背をぽこぽこ叩いてきた。可愛いなこいつ。

「雄利ちゃーんっ」
俺が読んでやると、雄利はうれしそうな顔をしたが、すぐに慌てだした。
「総司さんっ、部屋からでてくんなっつったでしょ――」
「あーー!!!」
「んぁ?」

雄利ちゃんと話してたら、もじゃもじゃしたやつが突進してきた。
「オマエ!かっこいいな!な、名前は!?」
「…」

なんだこいつ。


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