わんわん!



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※最初に

主人公が二重人格の話でついでにいつもうちのサイトでぼろくその王道君の話をかこう!と思い書きだしました。
主人公がいじめられたりしますので、ご注意ください!
ちなみに王道のときは生徒会も風紀もオチません。

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(わんこ視点)


「おまえら!最低だな!」

とか。

「セフレなんて最低だ!」

とか。

言った覚えはないのに何故か耳に残ってる言葉。要するにこれは――。



「…」
「わんちゃーん、どーしたのーだいじょうぶー?」
「…ひぐっ」
「わんちゃーん?」

俺は二重人格だ。自覚なしとかじゃない。けど、もう一人の人格が出るときの記憶はない。

俺は昔から引っ込みじあんで、しゃべるのも苦手だし、人見知りだし、臆病だし…とにかく社交性のかけらもない人間。
そんな俺は、全寮制の男子高校に通うことになった。死ぬかもしれない…とか思ってたら、俺のお姉ちゃんが…

『わんちゃんを調教してあげる!』

と近親相姦を疑われちゃいそうなことを言われた。

そして手渡されたのは、分厚いレンズの瓶底眼鏡。

『それをかけるとわんちゃんは王道転校生になるのよ!』
『お、ど…?なに、それ…』
『いいから!さぁ、特訓よ!』

姉との血をはきそうな(ごはんは吐いた)特訓によって、俺の中にもうひとつの人格が生まれた。笑えない…。よし精神科に行こう!と家を飛び出したおれはものの数秒で姉に捕まり投げ技をかけられた。
…お姉ちゃんは柔道黒帯。

俺のもうひとつの人格はとても自分勝手で、うざいらしい。俺は意識を乗っ取られてるからわからないけれど。

「…だい、ちゃん」

入学して一カ月。俺は毎日泣いていた。もさもさ頭に瓶底眼鏡をさせられて(とったら殺される、姉に)、同室のだいちゃん以外とはちゃんと話したこともない。
だいちゃんはとっても綺麗だから、皆から部屋から出て行けと手紙がポストにつっこまれるし、生徒会に近づくなとか言う手紙も来る。

もう一人の俺が学校に行ってるから、勉強も大変だ…だいちゃんは教えてくれるけど、迷惑かけたくない。

「ほら〜、どうした?」
「…だいちゃん、おれ、や?じゃま?」
言われた言葉を反芻すると、涙がこぼれる。
今日は部屋にある内線が鳴りっぱなし。たくさんのひとに、ひどいことを言われた。これももう一つの人格、ってやつのせいだ。

「邪魔じゃないって!!!俺はわんちゃん大好き」

綺麗に微笑んで、俺の涙をぬぐっただいちゃんは天使みたいだった。金色の髪はさらさらしていて、王子様みたいな笑顔を浮かべている。

「おれも、だいちゃんすき…。はなれたく、ない」
「また何か言われた?」
「…んっ」

だいちゃんは、俺がぐずっていると必ずと言っていいほど、キスしてくる。きっと外国の血とかはいっていて、挨拶がてらするんだと思う。

「だい、ちゃん…」
「わんちゃんは、俺と一緒にいたい?」
「…」
こくりとうなずく。
「なら、問題ないよね。俺もわんちゃん大好きだし、わんちゃんも俺が好き。だったらいいじゃん」
「…ん」

なんか、リョウオモイになったみたい。恥ずかしい。

「わんちゃんは俺がいるから、いいでしょ?」

だいちゃんがにっこりほほ笑んだ。
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