03




俺は三和の恋人になった。

「こ、これ…」
生徒会室。風紀に渡すための書類を副会長に渡された。
「行っておいでなさい、そして暫く三和といちゃついてきなさい」
「な、どうしてだ…」
「…顔が色っぽすぎて補佐その他のメンバーの手が止まっているからです」

よくわからない理由で追い出された俺は風紀委員室の前に来て、ノックしようとして、顔が熱くなってやめて、ノックしようとして、戸惑って…そんな繰り返しだ。

「…」
恋人になってからの三和はものすごかった。とんでもなく甘やかしてくるし、その…夜もすごい。優しくて、ピアスのことを打ち明けると、お揃いで指輪を買ってくれた。
ああ、俺はこんなに幸せで大丈夫だろうか、死なないだろうか、いや、幸せすぎて死ぬ、いつか死ぬ。

「…花房?」
「あ…」

扉付近でうろうろしていると、副委員長に見つかった。

「三和なら中で仕事してんぞ?」
「あ、あぁ…」
「…学校出会うのに抵抗あんのか?」

どうやら、寮部屋でいちゃついているのは知られているらしい。

「い、いや、そういうわけでは…ないんだが」

風紀委員には知られてしまっているらしいし…。まぁ、あんなことがあったんだから当然だろう。

「…お前、あいつから三和家のヒミツ教えてもらったか?」
「秘密…?」
「ああ、家族にはちょう甘ったるくなんだよ、勝手に。あいつ弟君すきじゃねえけど、でれでれだっただろ」

確かに、とんでもなくデレてた。…少し嫉妬してしまうくらいには。
「多分、それお前にもいくぞ」
「は…?」
「だってお前もう恋人だし、夫婦みたいなもんで認識されてんだろ」
…それは、俺から嫌いにならない限り永遠にあいつは俺を好きってことか。

少し、ぞくっとした。

「あと赤髪だったらしーな、俺こないだ知った」
「それは…知っていた」

副委員長より、俺の方が先だったのか…少し、うれしい。

「お前、あいつだろ。三和がいっちゃん最初に助けた奴」
「え…」
「ほら、クソな三年に…」

こいつも知ってたのか…。

「大分変わってたから、気付かなかった。あれだ…もしかして、お前がかわったのって三和のせいか」
「せい、っていうか…三和のために」

元々あの頃の自分が、ダメだったことは知っていたし、三和の好みに変わるのは大変だったが、好きな人のためにする努力だ。実った今では、大切な努力。

「あいつ、多分それ知って喜んでハイになってるわ。うん」
「…」
それも、なんか…うれしいぞ。

「まあ、ろくでもないけどよろしくな」
「…そんなこと、ない」
「いや、そうだからな。うん」

三和のどの辺がろくでもないのか、俺はよくわからないまま風紀委員室に入った。



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