淫行女と幸村

頭痛が治まらず私は閉じていた目を無理やりあけることにした。
この頭痛は二日酔いからだろう。
昨日もしかして飲みすぎた?っていうか昨日の記憶がまるでない!
しかも、今寝ている布団、…シーツ?
そこまで考えて周りを見渡すと。
見たことのない部屋、全裸の私、そして横には知らない男。しかも裸の。

もしかして…お持ち帰りされちゃった?
ひっぇぇぇぇぇえ!どうしよどうしよどうしよ!とりあえず着替えて知らないふりして出て行こう!気まずくなりそうだし!

「ん、うるさい…」

煩わしい声に振り替えると、ごろりと寝がえりを打った男。
わっ、めっちゃイケメンじゃない?蒼い髪が波打ってシーツにまばらにおちてるみたい。
閉じた目からまつ毛が女子みたいに長い。鼻筋はスッと通ってるし、薄い唇から吐息が…!
…これ女の子じゃないよな。布団をチラリと覗くと、うん、男だ。

「えっち」

「へっ?」

慌てて声の主をみるといつの間にか閉じていた目が開いて、にんまりと

笑ってる…!

「ご、ごめん…!」

とっさに身を引こうとするけど、腰に手をまわされてグッと引かれそれ

もかなわなくなってしまった。そしてポスん、と押し倒されて唇と指で

なぞる。

「また、したくなった?」

目を細めて、弧を描くように笑う男はとても妖絶で。
ヒィィ!なんだこの色気!!

「え、遠慮します…!」

「それは残念」

クッと笑って身を起こす男に心臓がドキドキする…!
というか、よく見ると顔つきが幼くないか…?

「…あなた、何歳?」

「つれないな、昨日は精市って呼んでくれたのに」

「…質問に答えて」

「今年で18だよ。今高校3年」

「18歳!?」

ズガんと一撃!!とんでもない色気の高校生だ!!
私の頭には未成年淫行という文字がでかでかと主張した。
と、とりあえずなかったことに…

「じ、実は私昨日の記憶全くなくて…」

「あれだけ善がってたのに?」

「よがっ!!…まぁいいわ。君さえよければ昨日のことはなかったことに…」

「精市」

「えっ?」

「俺は幸村 精市」

「え?ああ…」

正直これから忘れる相手の名前覚えたって仕方ないんだけどなー。と思っていると此方を精市くん私を見つめた。

その目はどこか真剣味を帯びている。

「ももこさん、なかったことになんて、できないよ」

「え?」

「今、俺が交番に駆け込んだらももこさんどうなるのかな?」

「そ、それだけは…」

「フフっ!まさか俺がももこさんを困らせることなんてするわけないじゃないか。…でも俺を捨てるようなことするのなら…」

「そんなことするわけないじゃない、ハハハ…」

お、脅されている。私の5歳年下の男の子から…!怖い。私は最近の高校生が怖いとです。

「おれ、ももこさんに一目ぼれしちゃったんだ」

そう言って頬づえ付きながらにっこり笑う精市くんは年相応に見えた。こんなおばさんに一目ぼれとは結構良くない目を持ってるぞこの子…。
っていうか、高校生ってもっと恥じらいとかあるでしょ!?
なんでこんな余裕ぶっこいてんの!?
思っていたのが顔に出ていたのか、精市君は私に近づいて私の手を取り自分の左胸に導いた。

「俺本当はすっごく緊張してるんだよ?今だっていっぱいいっぱいだし…」

ドクドクと幸村君の心臓の音が私の手を通して感じられる。その鼓動は速く嘘はついてないように見える。いや、でももっとこう・・・。

「で、でも!!」

「まぁこれ以上ガタガタ言える元気があるなら朝の一発イケそうだね」

今まで開いてた空間が狭まって、精市くんは私を押し倒した。

ヒィィイ!!若さって恐ろしい。

そういって精市くんは私の唇に自分の唇を落とした。

そして私はこの先この男の子に振り回される人生になると思わないまま、この快楽におぼれていくのだった。

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