よくできた歯車



時期的には秋だったが、冷え込んできた。
寝る時には毛布をかけるようになり、
飲み物は湯気がたつもの。
まだ秋じゃん…そう思っても冬は来る。

今日は蜘蛛の集まりがあるって
フィンクスが言っていたからなるべく
早くに目覚ましをつけておいたけれど
体は目覚めを知らないみたいだ。
今も何度か布団の中で私の体は波打った。
だって、あったかいんだもん。

部屋の扉が勝手に開かれて、いかつい声が響く。

「は…まだ寝てんのか…?」

「あー…寒いから早く閉めて…」

今日初めて声出したけど、死にそう。

フィンクスがジャージ姿で部屋に入ってきた。
まだ全然早い時間だし、どうしたんだろうと思っていると
私のベッドサイドまでやってきて暫く眺めた後、
何も言わずしらっとベッドに入り込もうと
毛布を持ち上げた。

「!!!!!!」

「あったかそうだな、お前」

「ちょ、やだ!!寒いから来ないで!やめて!」

「オレも、ほら。寒い、寒い。」

もうお構い無しに入ってきた。
言うほどこいつの体は冷たくなくて
私の頭を抱えて無理やりに胸元に顔を押し付けられた。
寒いし、まあちょうどいいやと思って
素直にフィンクスに顔を埋めた。
筋肉って何もしてないと柔らかい。
ふにふに、指で胸筋を押していたら
くすぐったいからやめろ、と怒られた。

勝手に私の布団に入ってきたのはそっちなのに。

怒ったから、身体を乗り出して
唇に噛み付いてやった。
痛いだろ!と思って顔を伺えば
何を勘違いしたのかフィンクスは笑って
行く前にイきたいのか?なんて
くだらない親父ギャグを言う。

「違うー!…も、ほんっと馬鹿だなあ」

「あ?馬鹿って言ったか?」

「言いましたー。もっと言おうか?」

「こいつ…」

そこで私はあっと声をあげた。
フィンクス、あったかくなってる。
きっとからかったから、あったまったんだ!
強化系って単純だな。

「へへ…フィンクスのおばか〜」

もっとあったかくなるかな、と思ったら
いきなりフィンクスが私の体ごと
がっちり腕の中で押さえ込んで
キスされた。
驚いて口を僅かに開けていたら
熱い舌が入ってきて少し乱暴に上あごをかすめた。
いくら声を漏らして、腕で押しのけようとしても
びくともしない。
舌先が何度もしつこく暴れたから
私はもう息が上がってうっすら瞳を開く

フィンクスは腹がたつことににやにや笑っていて、
離してくれた頃にはもう笑い出していた。

「馬鹿にするからだ。」

「っ…ば、ばかっ…………」

すっかり、フィンクスじゃなくて私の体が熱くなっていた。




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