拍手のやつ。









「臨也ー、臨也ー」


とたとた、

そんな効果音がしそうな走りを見せる彼女が、俺の方に走ってくる。


「どうしたんだい」


と、新宿の街並みを歩きつつ俺は彼女に返した。
すると彼女は、


「別に何もないよ!!

ただ会いたくなっただけ。」


と笑って見せる。
そんな彼女が可愛くて、俺に似合わない緩んだ笑みを浮かべた。


「……そう言えば、突然なんだけどさ」


「……?」


「キミは俺に、いつまでたっても渾名を付けてくれないよね。

前々から気にしてたんだけど、これってもしかして一種の放置プレイだったりする?」


彼女は、シズちゃんの事を俺を真似てか

『しずちゃん』

と呼ぶ。
ドタチンの事も真似てか

『ドタチン』

と呼ぶのだ。
新羅はまぁ……よしとして、それなのに俺だけ普通に名前呼びなんてなんか疎外感。

そう考えていると、彼女は言った。


「だってね、私は臨也の呼び方を真似してるだけだから。
臨也が呼んでない人は分かんないの」


……やっぱり、真似してるだけか。


「……そうか。

でも、別に真似なんてする必要ない。
キミはキミのままで充分滑稽だからね?

だから、キミはキミらしく、俺の事を呼んで。」


「んー……」


彼女は少しだけ考えて、直ぐに笑った。


「いざや!!」





ーーーーーーーーーーーーーーーー




以前の拍手のお礼文です。

prev/back/next