あとがき 


ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
まずはお礼まで。

さて、私は幽霊々という存在は主人公には相応しくないと書き終わった今も思っています。
最後の一ページは別作品にて語らなかった部分となっているのですが、そちら側のキャラクターの視点で幽霊々をポッと出で書くよりも、こうして独立した物語を書くほうがご理解いただきやすいのではないかと思った次第です。

そして、お聞かせください。
幸福にドレスコードは必要だと思いますか?
言い換えると、誰しもが幸福になっていいと思いますか?
もちろん幽霊々の答えは「必要ない/なるべき」というものになりますが、はたしてとんでもない罪人でもその一切に縛られず幸福になっていいものでしょうか。
私自身は答えを出せていません。
別作品の主人公たちは善人とは程遠い者たちばかりなので、執筆する時にいつもそれを考えながら書いています。

そして今更ながら注意点となりますが、私は#コンパスというゲームからは引退してしまったので、登場キャラクターやカード、ステージは現役時に実装されたもののみとなります。
対戦ゲームなのでステータスのバランス調整がよく入ってますが、それに関しては執筆時に調べ直して更新しました。
主にサーティーンのキャラクター設定や#コンパスの成り立ちについては私の考察によるところが大きいので、ここでの楽しみ方だと思っていただければ幸いです。
ゲームからは退いたものの、#コンパスへの愛情に変化がないことをこの物語でご理解いただけていたら嬉しいです。

黄泉戸喫よもつへぐいに関しても創作成分強めなので信じないでください。

また、様々な神話の内容を作中に多用していますが、様々な神話を用いているがゆえに矛盾点もあるかと思います。

例として、洪水伝説。神によって洪水が起こされる物語は非常に多くの神話に見られるものです。

創世記では神が人類を洪水で滅ぼし、ノア+αが生き残ります。作中でサーティーンとの話題に挙がっていたのがこれですね。
その次に有名なのがギリシア神話にて怒ったゼウスが人類を洪水で滅ぼし、デウカリオン夫妻が生き残るというものでしょうか。

そのように世界中の神話にて洪水伝説は語られているのですが、神話の多くは元を辿ればメソポタミア文明のギルガメシュ叙事詩に原型があると見られています。
神々の評議によって人類を洪水で滅ぼすことになるが、ウトナピシュティム一家が生き残るというものです。
文明を壊滅させるもの=大洪水……というのは、メソポタミア文明が河川によって栄えたものであるからかもしれませんね。

創世記にて蛇が果実をイヴ(とアダム)に勧めなければ人間は死と無縁だったというストーリーについても、ギルガメシュ叙事詩にて死を恐れたギルガメシュが不老の草を海底から取るが蛇に取られてしまった、という話が原型となっているようです。

大分話が逸れてしまいましたが、誰が洪水を起こしたのか、やその結果だけでも多種多様なので、どうしても矛盾として捉えられてしまう箇所が作中にはあるかと思います。

「ギリシア神話の話をしているのに(ニュンペー等)、どうして創世記の話(アダムとイヴ等)をしているの? 創世記は一神教であるユダヤ教・キリスト教等の聖典だから神が沢山いるギリシア神話と混ぜてはいけないんじゃない?」みたいなことを思った方もいらっしゃるやもしれません。

ですが、“世界は滅びと再生を繰り返すもの”という考えのもとこの物語ではその多くを真実として書くことにしています。
@ギルガメシュ叙事詩の世界→Aギリシア神話の世界→B創世記やその他諸々の世界
……という流れを想定しています。
作中でも言っていますが、つまり現代は創世記の「はじめに神は天と地とを創造された」で生まれた、唯一神の世界である設定です。

ギリシア神話は神々や英雄のどったんばったん大騒ぎストーリーなので、天使や悪魔という概念がありません。四話で話していたのはそういうことでした。
幽霊々はAで誕生し、元天使のサーティーンはBで誕生した存在です。
Aが滅んだのになぜAの存在である幽霊々がBの現代でも生きているのかという謎については、エピローグからぼんやりとでも察していただけたら幸いです。いつか何かできちんと語れたらいいですね。

さて、大分長くなってしまったのでこの辺であとがきも終わりにさせていただきます。

幸福にドレスコードは必要か。
答えは出せずとも、少しでも皆様の胸の内に残って、これからの人生でふと思い出した時にでも考えていただければ当作品を書いてよかったなと思えます。
本当にありがとうございました。

せっかくなので、彼岸花の花言葉の一つで〆させていただきますね。

「また会う日を楽しみに!」


(P.19)


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