名前は息切れしながら起き上がった。 ―また、あの夢を見た。 オルペウスの腕輪と契約していた過去を持つ彼女は、自分の意思で腕輪を外し、ルークとカイトが神のパズルで戦うことを止めようとした。 ―が、結局何もできなかった。と彼女は後悔していた。 (―また、自分で道を見つけるといいと思うよ。) ルークはそういったが、やはり名前は自分が無力だと実感してしまい、気持ちが沈んでしまう。最近は、ルークとカイトが神のパズルで対決したあの過去を、夢で見ることも度々出てきた。 「結局、できることなんてないのかなぁ…。」 ケータイがなっていることに気付く。慌ててケータイをとる。着信元は、ルークだった。 <もしもし?名前元気だったかい?最近連絡してな・・・「ルークゥ・・・。」・・・え?> ―ブチッ。 電話に出たのはいいが、声を聞いた瞬間に切ってしまった。泣きたい気持ちと、嬉しい気持ち。どちらが大きいかと聞かれれば、泣きたい気持ちの方が大きかった。 その反動できってしまったのだ。 「今は・・・会えないよね・・・ 。」 通話終了のままとまったケータイの画面の上に涙が何滴かこぼれていた。 ―ピンポン・・・。 玄関のチャイムが鳴る。 急いで走ってドアノブに手を掛けようとした。けれど、隙間から外を見た瞬間、扉を開ける気にはなれなかった。 外にいる、突然の来訪者。それは、ルークだった。 「名前、いるんでしょ?開けて・・・。」 「いやだ・・・。今はルークに会いたくない。」 ドアのわずかなる隙間から聞こえる声に、ルークは、強硬手段で扉を開けることにした。バランスを崩し、つまずきかけた彼女をルークは支えた。 「大丈夫かい?」 ルークのその言葉に、顔を隠してしまう。 泣いている彼女に、ルークは 「会いたくなかった?」 と聞いた。 別に、名前にはそういうつもりが無く、ただ自分の無力さにどうしたらいいか分からなくなってしまう。その結果、ルークに顔合わせできなくなってしまうのだ。 「なら、笑って。僕は・・・泣いている名前の顔は見たくないよ?」 それでも、泣いてしまうのだ・・・。 人間は、悲しいとなけるのだから・・・。 → back! |