「あっちゃんの親衛隊はねぇ、あっちゃんの素行が悪すぎて、ほとんど離れてっちゃったし残った子もあっちゃんが親衛隊自体解散させちゃったから、もういないの」
「…へ、え」

やべえこの人やっぱただもんじゃないっぽい。沖先輩は甘い声音で恐ろしいことをいう。素行が悪すぎてって。なにしたんだこの人。肝心の阿久津先輩は「別にたいしたことしてないんだけど」と言いながら、ナチュラルに煙草を吸いだした。ていうか普通にテーブルの横に脚付きの灰皿があることに驚く。なにここ。

おれの視線に気付いたのか、千鶴は口を開いた。


「……ここ自治寮だから、教師はめったにくち出してこねえよ」
「え? そういうもん?」
「それにここの部屋は僕ら以外めったにひと来ないしね」

阿久津先輩は言いながら、やけに細長い煙草を長い指に挟んで火を点けた。


「あ、馨ちゃんも吸うんだっけ?」
「……はぁ」
「ここいつでも使っていいから。ていうか馨ちゃんの部屋だね。いつでもどうぞ」
「いやここ談話室でしょーが」
「(笑)って書いてあったでしょ?」


阿久津先輩は何でもないことのように言うが、発言の所々に問題大ありだ。どこから運んできたのか冷蔵庫にテレビまである。ソファに雀卓。壁にダーツまでかかっていて、確かにこのメンツが中にいたら、普通のひとはビビって入らないかもしれないと納得もした。


「……でも、阿久津先輩が親衛隊つくってくれたのは分かったんですけど、いいんですか?」
「なにが?」
「…千鶴とか、洋介先輩とか、沖先輩とかは」

そう言った瞬間、沖先輩がガタッと音を立てた。



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