STORY | ナノ

▽ 手を繋がないと出られない部屋


■フチドリとエンギの場合

『手を繋がないと出られない部屋』
「なんだこのくそみたいな部屋」
「…!!」
「本当に出られるのかよ。お題通りにやったら罠に掛かるとかじゃねぇだろうな」
(う、うわあああああ本当に存在するんだこんな部屋…! こんなの創作の中だけかと思ってたけど! やらしいお題じゃなくて本当に良かった…!! って、そういう問題じゃなくて)
「おい」
(本当に手を繋ぐの!? フチドリと!? そ、そんな突然高難易度過ぎるよ! 絶対無理! わたし緊張で死んじゃうしそもそももう既に心臓が息出来ないよ!)
「おいエンギ」
「は、はひぃ!」
「あんたはどう思う」
「ど、どう思うって…ば、ばか! 女の子にそんなこと聞かないでよ!」
「なんでだよ! 俺はただこのお題が罠じゃねぇか確かめただけじゃねぇか!」
「えっ、う、ごめん…」
「い、いや、そこまで落ち込むことねぇだろ」
「わ、わたしもうなにも分かんないよ…」
「…ほら」
「えっ」

ピコーン

「お、開いた。…なんだ。罠なんてなかったじゃねぇか。行くぞ」
「え、う、え、う、えええ…………!?」

(わ、わたし今フチドリと手繋いで歩いてる? 扉開いたのに? え、ええあああ、あああああああああ!!!!)

「ふ、フチドリの…」
「は?」
「フチドリの、えっちーーーー!!」
「なんで!!」

元ホクサイ使いの腕力でぶっ飛ばされるフチドリ。


■ケイとカザカミの場合

『手を繋がないと出られない部屋』
「ええ…」
「あらあら」
「なんかごめんここにいるのフチドリじゃなくて」
「いいのよ。全然気にしてないわ。とりあえずおてて一緒に繋ぎましょうか」
「…あのさ。ケイってたまに僕のこと子ども扱いするよね。僕フチドリと同い年なんだけど」
「そんなことないわよ。あら、開いた」
「これって開いたらもう離してもいいのかな」
手を離すカザカミ。
「また閉まったわ」
「僕、頭が痛くなってきたよ」
「そう落ち込まないで。ほら、もう一度繋ぎましょう。歩ける? そこに段差があるから転ばないように気を付けてね」
「本当に子ども扱いしてないんだよね? 冗談なんだよね。ねぇ」
「あ、でもカザカミの方が目線が地面と近いから段差に気付かない訳ないわね」
「確信犯だった」

とは言うもののケイには逆らえないカザカミだった。



■エリュとナノの場合

「わあ凄い。なんか変な部屋に閉じ込められちゃったけど、あれ、俺達さっき普通に外にいなかったっけ…?」
「細かいことを気にするのはよそう。手を繋げば出られるんだな?」
「ま、待ってリーダー! 確かにそう書いてあるけど、本当かどうか分かんないよ。罠かもしれないし。扉が開くんじゃなくって底が開くとか、そんなのかもしれないし」
「しかしここで待っていても埒が明かない」
「そ、それもそうだけど…」
「じゃあ決まりだな」
「ま、待って!」
 エリュが手を繋ごうとしたが、その瞬間ナノは手を引っ込めた。
「なんなんだお前は待って待ってと! そんなに私と手を繋ぐのが嫌なのか!」
「違うよ! 逆! ほら、リーダーも女の子なんだし、俺なんかと手を繋ぐのって気の毒なんじゃないかなって…」
「そんな些細なことを考えていたのか…」
 溜め息を吐くエリュ。
「男女関係なしに私はリーダーだぞ。メンバーであるお前と手を繋ぐことが気の毒だと思うものか。むしろこれくらいでお前の無事を確保出来るならばいくらでもこの手を捧げよう」
「えっ、リーダーイケメン…」
「よし、繋いだな。ほら開いたぞ。行こう」
「あ、ありがとう…。俺、こんなんでいいのかなぁ…」
「こんなんとは?」
「いや、なんでも…」



■ニサカとスイレンの場合

「な、な、レン。これなんて書いてあるんだ? そしてニサカ達はなんでこんなところに閉じ込められてるんだ?」
「質問をいっぺんにしねーでくだせー」
「じゃあなんて書いてあるんだ?」
「自分で読め」
「なんてニサカ達は閉じ込められてるんだ?」
「読めば分かります」
「ほらなんも答えてくんねーじゃん! ジェッカス使いは要領悪いのか? あんなに機動力がどうとか謳っておいてそりゃないよなー!」
「あんたさんをこの場で亡き者にすることは容易いんですよ」
「ああ分かった分かったって! だからその陰キャブキ置いて! ガチでどうやったら出られるんだよ!」
「はぁーもううるせーですね。手を繋げばいいんですよ手を繋げば」
「はぁ!? 手を繋ぐってニサカとレンが!? ジェッカス使い特有の陰湿さが移るじゃん」
「心配いらねーですよ。自分も例え死んでも身が引き裂かれても四散爆発してもデュアカス使いとは繋がねーので。ただでさえあんたさんのせいで罪のないデュアカス及びデュアカス持ちのインクリングに嫌悪感が湧いてきたというのにその意識を植え付けた張本人と接触するなんてもはやジェッカスへの冒涜ですよ冒涜。本当はこんな密室空間にあんたさんといることさえ虫酸が走りますが共に居てくれるジェッカスのお陰でなんとかなってるんですよ。ジェッカスの偉大さに涙して感謝してほしいものですね。そして崇め奉れ」
「…散々な言い様じゃん」
「お互い様でしょう。…なに」
 俯いたニサカがスイレンの前に立ちはだかった。
「そこまで言われると寛大で心がひろーいニサカでも我慢なんねぇんだよなぁ…!」
「もっと正しく言葉を使ったらどーですか。ってこら寄るな!」
「もうニサカは怒った! ぜってーレンと手を繋いでやる!」
「はぁ!? させるわけねーでしょう! だから来ねーでくだせー! 死ね!」

 永遠にニサカとスイレンの攻防は続いた…。



■チームLMiの場合

「…」
「…」
「女の子と入れられてえっちなお題出されたら喜んでやるんだけどなぁ…」
「分かるわ…」
「とりあえずはい」
「モモさん」
「ん?」
「俺…モモさんのこと愛してるで」
「きもすぎるだろそれ…」
思わず吹き出すモモセ。
「モモさんは?」
「はいはいいっぱいちゅきー」
「はよキイロも手ぇ繋いで」
「いやうち思うんだけどさぁこれって手繋ぐならなんでもいいの?」
「えっ、どういう?」
「まずうちら三人が融合するじゃん。そしたらみんな手重なるじゃん。実質手繋ぐことになるし名案じゃない?」
「ごめん俺キイロがなにゆうとるかさっぱり理解できへんわ」



2019/03/17



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