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謎の部隊に追いかけられそれを撃退はしたが、今度は車のタイヤがパンクしてしまった。

「何やってんだーー!このば海馬!」
「黙っていろ!この凡骨!」
「何をーー!」

何時ものように喧嘩を始めてしまった。
遊戯は、またか…と思いそれを止めようとはしなかった。

「あ、刹那、十代くん」
「んー、もう着いたの?」
「いや、タイヤがパンクした」
「………スペアは無いのか」
「そうみたい」

起きたばっかりなのに、この不幸。
刹那は、こんなので大丈夫なのかと心配になってきてしまった。

「はぁ…」

刹那がため息をついた瞬間何処からか爆音が聞こえてきた。

「おいおい…まだ追いかけてきたとかねぇよな」
「このエンジン音、たぶんバイクが…少なくとも5台はいる」
「え、わかるの?」
「D・ホイールの整備よくやっていたからな。たぶんそのおかげだと思う」

会話を続けてる合間に、爆音はすぐそこまで近づいていた。

「ったく……冗談じゃねーぞ…っ」
「さて、どうします?」
「本当、憂鬱だよ…」

爆音と共に現れたバイク部隊にあっという間に囲まれてしまった。
が、ティエリアはさほど焦ってはいなかった。

「……刹那・F・セイエイ」
「なんだ」
「いけるな?」
「……大丈夫だ」

刹那とティエリアが短く言葉を交わした次の瞬間には刹那の姿が消えていた。
次の瞬間──バイク部隊のひとりが声もなく地に伏した。

次々に地に伏していく男たち。
気が付けばすべての男たちが倒れていた。

「ミッション、完了」
「刹那くん、凄い!」
「全然見えなかったぜ…」

遊戯たちが刹那の華麗な動きに見惚れていると、後ろから声が聞こえてきた。

「へぇ、意外とやるじゃん」
「……何者だ」
「オレ?オレはヴァロン。ドーマの三銃士のひとりだ」
「わざわざ敵さんが来てくれるとは」

刹那の背後からロックオンはヴァロンに向けて銃をかまえた。
その目は……本気だった。

「おいおい…その物騒なもの仕舞ってくれよ。オレは別に襲うつもりはないぜ」
「その言葉、何処まで本当なんだろうな」
「やっぱ、疑うか…」
「そりゃあな。んな敵の名前出されて疑わないのはおかしいさ」
ロックオンがそう言うとヴァロンは肩をすくめ両手を挙げた。

「そりゃそうだろうな。てか、その物騒な物、仕舞ってくれたりしないかな?」
「ロックオン、仕舞ってくれないか?」
「刹那!?」
「敵意が全く感じられないから、大丈夫だ」

刹那に促され、ロックオンはヴァロンに向けていた銃を下ろしホルスターに仕舞った。

「ヴァロン…くん?だったかな?どうしてこんなことをしたんだい?」
「オレにも目的ってのがあるんだよ。それは言えないがな」
「目的……あの、ダーツとか言う奴と同じか?」
「似てるようで違うな。あいつは…ダーツ様の計画は少し狂気じみてる」

ヴァロンの話を聞くうちに何処と無く違和感を感じた遊戯は、思ったことを素直に聞いてみることにした。

「君、ホントはダーツに従うのが嫌なんじゃ…」
「……」
「君に目的があって、それに似てるから三銃士になったって言ってるみたいだけど……」

──ボクには、君が苦しんでるようにしか見えないんだ……

その言葉にしんとなった瞬間、後方で爆発音が聞こえた。


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