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雨がしとしとと降っていたある日こと。サッカー部の部室では、(ある意味)白熱した戦いが繰り広げられていた。

「うー、どっちだぁ…」
「半田ぁ、早くしてよー」
「じゃあ、こっち!」

マックスの手から引かれた1枚のカード。それを見た半田は絶叫した。
そもそも彼らは何をしているのか。
答えは簡単。雨で練習が出来ないから部室でゲームをしているのである。

「うわあぁぁぁぁっ!負けたぁッ!!」
「残念だったな、半田」
「勝ち組は黙ってろッ!」

この勝負、半田が負けてしまったようだ。もちろん敗者には恒例の罰ゲームが待っていた。

「じゃあ、1枚引いてくれ」

箱に手をいれ紙を引く。そこに書かれていることを実行するというだけの罰ゲームである。

「何々…“2番の服を着て、帰るまでその格好でいること!!”なんだ軽めのやつかぁ……」

罰ゲームの内容を知りひと安心した半田だったが、次の言葉によりそれは粉々に砕け散った。

「半田、2番……メイド服だぞ」

オレ、やっぱりついてないのかも…と、真っ白になった半田。
しかし無情にもマックスや綱海の手により罰ゲームは執行されたのである。

「う、うぅ……」
「半田ー、よく似合ってるよー」
「褒められても嬉しくねーー!」
「じゃ、次やるぞー」

半田の言葉を軽くスルーして、円堂たちは次なるゲームを開始した。取り出されたのは、黒髭の海賊を飛び出させないようにするものである。

「お、黒髭危機一髪か!」
「これなら、鬼道や豪炎寺たちでも負ける可能性が出てくるだろー」
「それ、いいかもね」
「じゃ、始めるぞー」






















ビョーン!!

「あはは、鬼道の負けだなー!」
「………………」
「鬼道、怖いぞ」
「じゃあ、引いてくれ」

怖いオーラを出しつつも、箱に手を突っ込み1枚の紙を取り出した。
畳まれた紙を広げ、そこに書かれた文字を見、鬼道の眉間に皺がかなりよっていた。

「なー、なんて書いてあったんだ?」
「……“5番の服を着て、ものまねをする。服は帰るまで来たまま。”」
「鬼道もコスプレか」
「しかも、オプションでものまね……」

鬼道がものまねをするところを想像したのだろうか、円堂はぷっ、と吹き出していた。これにより更に鬼道の眉間の皺が増えたのは言うまでもない。
しかし、敗者は罰ゲームをやるというルールを認めてしまった以上はやるしかないと、鬼道は腹をくくりコスプレ衣装に手を伸ばしたのであった。

「半田より、全然マシじゃん」
「なぁんだ、つまんないの」
「……お前ら、言わせておけば…ッ!」

円堂の言葉はいいとして、マックスのつまらない発言には流石の鬼道もキレかけた。コスプレをしていること事態、彼の怒りやら羞恥心のゲージをあげているからである。

「まぁまぁ、鬼道くん。落ち着きなよ」
「吹雪、その格好で言われても落ち着けない」

ちなみに吹雪はいちばん最初に罰ゲームの餌食になった。どうも、マックスと半田、音無が裏で手を回したらしいのだが真相は闇のなかである。
彼もコスプレしているのだが……それが女装ときたものだ(某カードゲームアニメの沈黙魔術師コス)
しかし、楽しそうに着ている時点で羞恥心はないのだろう。ある意味最強の精神を持ち合わせている。

「そういえば鬼道。ものまねしていないな」

さっきから黙りこくっていた豪炎寺が急に会話に参加したと思ったら、鬼道に対するものまねの催促であった。その顔は、どことなく楽しんでいた(by立向居)

(この、白チューリップがッ!!)

とりあえず自身のなかで毒づいておいた。そして、こいつには最大級の罰ゲームがくるように祈ったのは内緒である。


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