1

日本の首都東京。
そこには稲妻町があった。
これは稲妻町のある中学校で起きている小さな戦争の話。


























──雷門中 サッカーグラウンド。

「よし、いい調子だぞ!」
「いくよ、円堂くん…流星ブレードッ!!」
「正義の、鉄拳ッ!!」

FFI(フットボールフロンティア・インターナショナル)。少年サッカーの頂点を決める世界大会。
日本代表──イナズマジャパンは雷門中を合宿所にして毎日練習をしていた。

「ヒロト、いい調子だな!」
「円堂くんこそ。あーぁ、これで9連敗だ」
「でも、だんだんよくなってきてるぜ?さっき、正直止められないって思った」

イナズマジャパンの守護神にしてキャプテンの円堂守と、ストライカーの基山ヒロトはふたりっきりで練習をしていた。ちなみに彼らは恋仲。ヒロトが一目惚れし、何回も何回も(それはしつこく)アタックした結果、恋人になった。

「じゃあ、練習終わりにしようぜ!」
「え、練習終わり?」
「あぁ!」
「それじゃあ……円堂くぅぅぅぅんvV」
「うわッ、いきなり抱きつくなーーー!!」

……基山ヒロト、練習や試合の時は真面目なくせに、普段は円堂LOVEな変態(ビッチ)なのだ。黙ってればカッコイイのに、なんだか残念なストライカーであるのが円堂の悩みだ。

「ちょ、離れろよ、ヒロト!!」
「嫌だ。ずっと練習ばっかりで円堂くんが不足してるんだもん」

(一方的だが)端から見ればラブラブなバカップルにしか見えないふたりだが、周りは敵ばかりである。そうチームメイトと言う名の敵が。

「基山の奴…ッ、円堂にべったりしやがって羨ましいッ!」
「風丸、本音が漏れてるぞ」
「………変態が」
「豪炎寺、お前は無言で爆熱ストーム打とうとするな」

離れた所から円堂とヒロトを見ていた風丸、豪炎寺は負のオーラを惜しみもなく出してヒロトを睨み付けていた。鬼道はただ巻き込まれた被害者だ。

「……キャプテン、嫌がってるわりには楽しそうですね」
「虎丸、あいつらに関わらん方がいい。地獄を見る」
「??」
「いいなぁ基山は。円堂とイチャイチャできて」

風丸と豪炎寺よりもマシな虎丸と緑川は、羨ましそうにバカップルを見ていた。
と、そこへ風丸たちよりもたちの悪いラスボスが現れた。

「……円堂さん、酷いですよ。オレとあんなこととかしたのにッ」

そう。ラスボスはもうひとりのGK、立向居勇気。イナズマキャラバンに参加して以降、円堂狂にますます拍車がかかってしまい、ちょっとヤバい雰囲気を身につけてしまった中1である。

(またきたか……立向居の酷すぎる妄想…)

鬼道は深いため息をつき、立向居を見た。先程「オレとあんなこととか」と言っていたが、所詮は妄想。これがなければ凄くいい後輩なのに、と毎回同じことを考えていた。

「……円堂と基山はほっといて、練習するぞ」

とにかく練習はしなければと思い、とりあえず嫉妬している風丸、豪炎寺、立向居を放置して他のメンバーに指示をだした。もちろん円堂とヒロトのバカップルも放置だ。

「え、鬼道さんいいんですか?」
「……触れちゃいけないこともあるってことだよ。さぁ、試合も近いし練習しようよ」

キャプテン放置でいいのかなと思いつつも、虎丸は練習するために吹雪のあとについていった。

「ひ、ヒロト…くすぐったいって!」
「円堂くん、かわいいよ」
「お、オレは男だぞ!?かわいいって言われても嬉しくないぞ!」
「もう、円堂くんは素直じゃないんだから」

一方、ずっとヒロトから(セクハラという名の)スキンシップを受けていた円堂は、練習やめなきゃ良かったと心の中で絶賛後悔中だった。

(そりゃ、ヒロトのことは好き、なんだけど……)

スキンシップを受けながら考え事をしていたためか、はたまた反応が薄くなってきてつまらなくなってきたのか、ヒロトは大胆な行動に出た。


.


[*prev] [next#]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -