『…?』

「ほう、可愛い顔をしているな」

『にゃん?』

「あいつには勿体ない。今暇しているんだろう?ついておいで」


ハチたちが校外実習で留守にしているこの時間、えっと、今は申の刻です。
私は忍術学園においてもらっている身なので、何かお手伝いすることはないかと学園をウロウロしていました。
途中お庭に咲く猫じゃらし(この前さぶろーにいじめられたやつです…もうっ)を見てウズウズしていたところを……

ええっと、


「そんなに私を見つめてくれるな」

『…ん、あなた…名前は?』

「あぁ名前か。私は六年い組立花仙蔵だ」

『せん、ぞー?』

「! よく言えたな名前」


せんぞーは私を引っ張っていたその手を離すと、よしよしと頭を撫でてくれます。
この人は六年生。
ハチの先輩にあたる人、なんでしょうか…?

だとしたら私も失礼なことしないようにしなくちゃですね!

なんて思ってたら、またせんぞーに手を引っ張られます。
どこかに向かっているみたいですが…どこへ行くんでしょう?

ほあ!
せんぞーの後ろ髪がさらさら揺れて…あ、これ、なんだか猫じゃらしみたいです//
どっどうしよう、何だか触りたくなってきてしまいました。
いや、でも名前…だめですよ、ハチの先輩に対して失礼なことをしては!
う、でも…でも…!


『ふみゅう……せ、んぞー』

「今度はどうしたんだ?あと少しで着くんだが」

『せんぞーの髪、綺麗。触りたい、です、だめです…?』

「ふっ、」


はははは。
立ち止まってこちらを向いてくれたせんぞーは私を見て笑いました(笑い方も、綺麗な人です…)。
や、やっぱり髪触ってほしくなかったんでしょうか…!


「着いたらいくらでも触らせてやる。行くぞ」


触っても大丈夫みたいです、よかった…!
私は安心してまたせんぞーの後ろ姿を見ながら歩きます。
ふふっ楽しみです。
それにしてもせんぞーは私をどこに連れて行きたいのでしょうか?





「連れてきたぞ」

「! わ、猫さんだー!可愛いー!!」

「先輩、…この人は…?」

『??』


せんぞーに連れて来られたのは一つの茶室、のようなとこでした。
手を引っ張られて入れば、せんぞーの後ろから声がします。
青色で○#模様の男の子が二人、前髪が綺麗に揃えられている子と切れ長の目をした子。

目の前にてとてとと歩いてくると、へいだゆー(せんぞーが確かそう言ってた)は私に抱き着いてきました!
わわわ、私なんかよりもあなたが可愛いです…!
私も負けじとぎゅー仕返します。


「こら、兵太夫。名前から離れろ」

「えー!猫さん、僕に抱き着かれるの嫌ですか?」

『へ?あ、ううん…!』

「じゃぁ問題ないですね」

「問題大ありだ!」


バリッ。

勢いよくせんぞーに手を引かれへいだゆーから離れます。
もうちょっとそのままでもよかったんだけどなぁ。


「名前、この抱き着いてきたのが兵太夫、あっちの静かにしているのが伝七、それから…今茶を持ってきたのが藤内だ」

「「「よろしくお願いします」」」

『わ、私は…名前です。よろしく、です!』


皆と自己紹介をした後、いろんなことを聞いた。
せんぞーたちはさほー委員会というのに所属していて、今はそれの集まり、らしいです。
本当はもう一人四年生の方がいるみたいですが…今は穴を掘っている…?だとか。

あ、でも今委員会中ならお仕事をしなくていいんでしょうか?
私邪魔なのでは!


「いや、もう仕事は終えているんだ」

『? 桶…?』

「名前さんは見ない方がいいですよ、絶対」

「見たらきっとここに来たくなくなっちゃいますから」


たくさん並んでいた桶が気になったのですが、茶菓子を出されてごまかされてしまいました。
苦笑いしながら私を見つめるへいだゆーとでんしちととーない。
気になりますが、あまり追求しない方が良さそうです。

それから…。
私はチラっとせんぞーを見ました。
綺麗でサラサラしているせんぞーの髪、触りたい、です。
さっき了承してくれたし…触ってもいいんでしょうか?
せんぞーが何か動く度にサラサラと揺れるその髪についつい目がいってしまいます。

わ、せんぞーと目が合っちゃいました!


「名前、私の髪が触りたいんだったな」

『は、い!』

「じゃぁ、


予算会議に一緒に出てくれないか?」



『よ、さん…かいぎ…?』



よさんかいぎって何でしょう?







110713

……………………
あれ、続いちゃったよ